パーティメンバーを喰いつくしたら強くなれました。
空松蓮司
第一話 “イビルイーター”
「うえっ……まず」
緑色のドロドロの液体をアドルは口に運んでいた。
液体の正体は〈
「ちっ、喰えたもんじゃねぇな。〈
「しっかり食えよアドル。もしかしたらお前に適合する魔物なのかもしれないんだからな」
小竜の刺身を食べながらパーティメンバーのヴァンスが言う。
アドルはヴァンスが摘まみ上げた小竜の肉を羨ましそうに眺め、
「いいよな〈
「ホントそれ。わたし、これ無理かも……」
アドルの言葉に同調したのはルース=フルゥードゥ、アドルの幼馴染である女性だ。アドルと同様に〈
「いいから喰えよ。この中で〈
「嫌……むりむりむりっ! ねちょねちょしてて気色悪い!」
金色の髪を振り乱してルースは〈
ヴァンスは呆れながらオレの皿からスライムを素手で掬い、そのまま口を付けて吸い込んだ。
「――ん、そんなに不味くなくね?」
「本気で言ってるならすげぇわお前……」
「どうだアドル、体に変化あるか? もう
アドルは拳をグーパーし、試しに魔力を手のひらに集めてみるが何一つ変化は起きなかった。
「……駄目だな。不適合だ」
「これで42種類目。もうこの辺に出る魔物は全部食べたな……」
落胆するアドルとヴァンス。
彼らが居る洞穴に二人分の足音が近づく。
「その様子だとまた駄目だったみたいね」
武闘服のスリットから生足をチラつかせセレナは言う。
隣に立つ眼鏡の少年、フィルメンは愛想笑いを浮かべ、
「気にすることありませんよアドル君、僕達はどこまでも付き合いますから」
今回も駄目か、とメンバーが落胆した時だった。
「あ、あぁ……! うそぉ!!!」
ルースの声が洞穴に響いた。
ルース以外の四人もルースの腕を見て同様に驚いた顔を見せる。ルースの右腕は先ほどまで喰っていた〈
「適合……したのか?」
「やったじゃねぇかルース!」
「物理攻撃を無効化する〈
「なんにせよ、おめでとうルース」
喜ぶ一同に反して、ルースは泣きそうな表情を浮かべてアドルを見た。
「どうしようアドル。適合しちゃった……こんな気持ち悪いのと……!」
アドル、ルース、ヴァンス、セレナ、フィルメン。この五人は幼馴染であり、パーティを組んでいるメンバーだ。彼らは辺境の村、ルオゥグ村に住む特殊な部族の民であり、そして――
魔物を喰らい、その特性を吸収し自分の物にする〈
――――――――――
【あとがき】
『面白い!』
『続きが気になる!』
と少しでも思われましたら、ページ下部にある『★で称える』より★を頂けると嬉しいです!
皆様からの応援がモチベーションになります。
何卒、拙い作家ですがよろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます