《魔女たちの追憶》かつて神と呼ばれた魔女たちは。
七星北斗(化物)
1.何も変わらないよ
魔女を見つけたら殺せ、これが人間の常識である。人は、魔女を害虫か何かだと思っているのだろうか?
白髪の赤い目の私は、魔女の中でも異端で、迫害を受けた。村の片隅に住んでいる私は、残飯の魔女と呼ばれている。
しかし私は、それでいいと思った。人の食べ残しを食べて命を繋ぐ、むしろ感謝をしている。
家の外を歩けば、臭い残飯の魔女が出たぞと、子供にからかわれる。うーんそうだな、元気があって大変よろしい。
人や魔女は、何も変わらないよ。誰しも、生活環境や容姿が違うと不安になるのだ。私とは、違う生き物だと。
この世界には、たくさんの種族が住んでいる。だけど種族は変われど、何も変わらないよ。
そんなある日、家を燃やされてしまい。幸い村外れの家なので、燃えたのは私の家だけだった。そう、また建て直せばいいだけだ。
だけどショックだったのは、村から出ていけと言われたこと。
私は頭を下げ、感謝の気持ちを伝える。
「今までお世話になりました」
と。しかし村の魔女は、それを媚びた言葉だと、淫売婦と私を詰る。
後ろを振り返らず、私は村を出ました。何故ならば、涙を見られてしまうからです。彼女たちは、それすら許してはくれません。
仲の良かった魔女の友人に、そんな姿は見せられないので。だって、カッコ悪いじゃないですか。
これからどこへ行こう、私は自由です。私の夢だった気の向くまま旅ができる。これは大変嬉しいことです。
ですが、身一つで生きるには、どうしたらいいのだろうか。
外の世界では、通貨と呼ばれる物で物々交換を行っていると聞きます。
もちろんお金になるような物は持ってませんし、薬って売れるのでしょうか?
そこで思い付いたのが、スイレンの森には、魔獣と呼ばれる生き物が生息しており。危険ではあるのですが、魔獣のコアとなる魔石は、人間の町で高値で売買されていると聞きます。
魔獣を狩り、美味しいご飯が食べられて、服を揃えられる。何でしょうこの完璧な計画、私って天才でしょうか。
何って思った私が馬鹿でした。
時間を一刻遡ると、スイレンの森で猫の魔獣と偶然鉢合わせになった私は、魔法を唱えようとしている間に逃げられてしまいました。
必死に追いかけたのですが見失い、疲れた私が木に寄りかかると、それは寝ていた熊の魔獣で。目が合った私は、引きつった顔で笑いかけるのです。
でも熊の魔獣は、ギラリと目を光らせ。驚いた私は、脱兎のごとく逃げることにしました。後ろからは、凄い剣幕で魔獣が追いかけてきます。
半泣きになりながら、魔法の詠唱を始めます。
「永久よりきたりて、深緑の歪み。捕らえるは、熊の魔獣。緑鎖の庭」
森の木々や花々から、枝や蔦が伸び。熊の魔獣を捕らえることに成功しました。
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