第5話 召喚された先で

僕が目を覚ますと同級生のみんなは既に一か所に集まっていた。


その前には、中世の騎士の様な恰好をした人物がいて、その先には綺麗な少女と多分王様なのだろう、偉そうな人物が椅子に座っていた。


「最後の一人が目覚めたようです」


騎士の報告を受け、王の前にいた美少女がこちらの方に歩いてきた。


「ようこそ、勇者の皆さん、私はこの国エルドマインの王女マリンと申します、後ろに座っているのが国王エルド六世です」


担任の赤川先生が一歩前に出た。


「こちらの国の事情は女神様に聞きました。ですが、此処に居る全員が戦闘なんてした事がありません!できるだけ安全なマージンで戦わせて欲しい。そして生活の保障をお願い致します」


そんな話もしていたのか……眠っていたから聞いてないや。


「勿論です、我々の代わりに戦って貰うのです。戦えるように訓練もします。そして、生活の保障も勿論します。 全てが終わった時には女神様の力を借りて希望者は必ず元の世界へ帰れるように致します!ご安心ください」


なんで戦うんだろう?


代わりに戦って死ぬかもしれない。


そんな状況で『訓練』と『生活の保障』明らかに損じゃないかな?


そして……全部終わったら元の世界に帰れる。


うん、どう考えても碌な話じゃないな。


「解りました、それなら私からは何もいう事はありません、ほかのみんなはどうだ? 聞きたい事があったら遠慮なく聞くんだぞ」


こんな良くない話で納得しちゃうわけ?


良く考えた方が良いんじゃないかな。


同級生が色々な事を聞いていたが、何故か皆が納得してるし……


聞いた話で考えると……


ここは魔法と剣の世界、前の世界で言うRPGの様な世界だった。


クラスメイトの一人進藤君が質問していた。


「ですが、僕たちはただの学生です、戦い何て知りません、確かにジョブとスキルを貰いましたが本当に戦えるのでしょうか?」


「大丈夫ですよ、ジョブとスキルもそうですが召喚された方々は召喚された時点で体力や魔力も考えられない位強くなっています、しかも鍛えれば鍛えるほど強くなります。この中で才能のある方は恐らく1週間位で騎士よりも強くなると思いますよ」


「それなら安心です……有難うございました」


何処が安心なんだか。


これから殺し合いをすると言うのに。


「もう、聞きたい事はありませんか? それならこれから 能力測定をさせて頂きます。 測定といってもただ宝玉に触れて貰うだけだから安心してください......測定が終わったあとは歓迎の宴も用意させて頂いております、その後は部屋に案内しますのでゆっくりとくつろいで下さい」


こんな簡単な話を聞いただけで、何故納得できるんだか。


それより、謎の声に従って、スキルを貰わなかったけど……僕大丈夫なのかな?



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