第2話 鏑木騎士
街はずれにある平屋の大きな洋風の屋敷。
そこにこの僕、鏑木騎士(かぶらぎないと)は住んでいる。
僕が何者でどうして此処に住んでいるのか解らない。
両親はどうやら死んでいるみたいだけど……そもそも両親の顔も思い出せない。
僕の中には『両親と生活した記憶』すら無いんだ。
生活に困らない記憶はある。
この街の何処に何があるのか? 何処の学校に自分が通っているのか? そう言う事は解る。
だが、自分については全く解らないんだ。
一生懸命考えても……中学生頃から記憶しか思い出せなくて、そこから先の事が全く解らない。
無理やり思い出そうとすると……不思議な事に泣きそうな顔をしている二人の少女の顔が頭に浮かび頭痛が起きる。
亜麻色の髪の可愛らしい少女と黒髪の可愛らしい少女。
まるで、その先は『思い出してはいけない』
そうなにかの力が働いているかの様な気がする。
お金には困らない。
一定の金額が僕の銀行口座に振り込まれる。
生活に必要な記憶はちゃんとあり、家事も出来るし勉強も困らない。
今現在の友達の記憶もあるし学校の記憶もしっかりある。
だけど、自分や親類、取り巻く環境それが大体中学生から先の記憶が無いんだ。
何故、こういう状態に自分がなっているのか?
最初は一生懸命調べたんだ。
解った事は両親は僕が子供の頃死んでいて……遠い親戚が僕にお金を送金してくれている。
それだけしか解らなかった。
その遠い親戚も、名前は解るが住所も連絡先も解らない。
だけど、何故か生活には困らない。
考えても、調べても解らない以上は仕方ない。
もう、諦めて僕は高校生として生活している。
真誠(しんせい)高校の2年生の鏑木騎士。
割と頭が良くてスポーツも得意……だけど、何故か色々な事に自信が持てないでヤル気が起きない。
周りの評価は『やれば出来るのにやらない子』
才能はありそうなのに、怠惰で怠け者。
そんな風に思われているようだ。
まぁ、どうでも良いんだけどね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます