第87話 何も無かったですね
そんな事を話しながら俺は森の中の村へと向かう。
ちなみに森の中にある村の名前はレスト村という名前の村らしい。
「ようこそお越しくださいましたっ!! ささ、こちらへどうぞっ!! ポーション用の薬草以外は何も無いところですが、領主様の嫡男であるカイザル様がお越しくださるという事で精一杯もてなさせていただきますのでっ!」
「そんなにかしこまる必要は無い。次からは領主の息子ではなく、ただの客人としての対応でかまわない」
「そう言われましても立場というものがございますので……っ」
「ふむ、ゼフがそう言うのであれば好きにすると良い。無理強いはせぬ」
「あ、ありがとうございますっ!」
そしてレスト村についた俺はまず村長であるゼフの家に向かい、奥に通される。
その時に十四歳程の娘が俺の事を睨みつけてくるのだが、敢えて気付かないふりをしてそのまま案内されたまま奥の部屋へと入る。
奥の方で恐らく村長の奥さんがその娘に対して『そんな視線を向けるのは止めなさいっ!! 殺されてもしらないよっ!!』と叱っていたので、あの娘は村長とその奥さんとの子供だとみて良いだろう。
「う、うちの娘がすみません……。女性らしく育てようとすればするほど男まさりなじゃじゃ馬娘に育ってしまいまして……っ。どうか許してやってください……っ! 」
「なんのことだ? 俺は何も見なかったし聞かなかったが?」
「あ……ありがとうございますっ!!」
「だからなんの事だ? 俺は何も見なかったし何も聞かなかったぞ? それとも何か? 何か俺は見逃して聞き逃していたのか?」
「い、いえ……そうですね。何も無かったですね……っ。で、ではこちらへどうぞっ」
流石に俺が娘と母親のやり取りを聞こえたという事は、当然同じ場所にいる村長にも聞こえている訳で、村長は顔を真っ青にして汗をだらだら流しながら土下座する勢いで謝罪しながら娘を許して欲しいと懇願してくるので、俺は何も見ていないし聞いてない体で返して、何の事について謝罪をしているのかと返す。
すると村長も俺の意図に気付いたのか、先ほどの娘が行った無礼な態度については無かった事にして部屋の中央にあるテーブル、その上座の席へと案内されるので、俺は案内されたままその席へと座る。
「俺がここに来た理由は分かっているな?」
「はい、事前の連絡にて現領主であるダグラス様よりカイザル様へ死の森の開拓をするよう命令があったとの事で……。その事自体は理解できているのですが、本当にその……死の森の開拓をできるのでしょうか?」
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