第22話 生きている人間だからこそできる事
因みに、このままプレヴォが俺にちょっかいをかけてこなければ嫡男から外されそうになっている現状で体裁は十分だろうと思い何もしなかったのだが、流石にあのガバガバな作戦を企てて実行するだけのバカはレベルが違う。
反省をするどころかちょっかいを今まで通り変わらず、むしろ今まで以上にかけてくるので、近いうちにでものしを付けてしっかりと返してやるつもりである。
その制裁内容を、どのような内容にしようかと考えるだけで楽しく、故にプレヴォのちょっかいも気分よく流す事ができるというものだ。
なんならもっと突っかかって来て欲しいと思う程である。
あぁ、その日が楽しみで仕方がない。
そんな事を考えながら俺はオリヴィアの父親であるシュバルツさんと一緒にロレーヌの中心街を歩いていき、そして俺たちは奴隷商へと向かう。
その理由なのだが、早い話がマリエルの他に俺の手足と成りうる人材が欲しかったからである。
他の人工知能搭載ロボは所持しているのだが、それだけでは痒い所に手が届かないので秘密を漏らす心配のない奴隷を俺の手足に育てる予定である。
それに効率重視のAIにはできない、生きている人間だからこそできる事も意外とあるものである。
というかマリエル以外のロボはそもそも人型ではないものも多いというのも今回俺が奴隷を購入する理由の一つでもある。
「いらっしゃいませ、ロレーヌ様。本日はどのようなご予定で?」
「こちらのカイザル様に奴隷を売って欲しい。できるだけ質のい良い奴隷を──」
「その必要はない。ちなみに欠損奴隷は置いてあるか? 置いてあるのならば見たいんだが?」
シュバルツさんは奴隷商のオーナーと会うや質のいい奴隷を俺に進めるように話始めるので、俺はそれを遮る形で欠損奴隷がいるかどうか確認する。
「……よろしいので?」
「かまわない」
「かしこまりました……では私について来てください」
そして奴隷商のオーナーは俺に確認を取ると、そのまま俺たちを地下にる一室へと案内する。
そこには両腕と右足、そして片目が無く、顔は斜めに大きく一筋の切り傷の傷跡がある、燃えるような赤い髪の毛をもつ女性がベッドに横たわっており、虚ろな目を俺の方へ向けて来る。
「今当店で売り物として販売している欠損奴隷はこのドラゴノイドの元女冒険者だけでございます……。そうですね……豪炎のアーシャと言った方が分かるかもしれませんね」
「ほう、これがあの有名なソロで冒険者ランクAまで上り詰めた豪炎のアーシャですか……生で見るのは初めてです……っ」
「知っているのか?」
「えぇ、勿論でございますよカイザル様っ!! 豪炎のアーシャと言えば竜殺しで有名ですからっ!」
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