無能な害悪令息と呼ばれている公爵家産まれ俺、この世界よりも魔術や科学が進んだ異世界の国家魔術師であった前世の記憶を思いだす~とりあえず人工知能搭載ロボを駆使してスローライフ目指します~

Crosis@デレバレ6/21連載開始

◆1:スローライフへの第一歩

第1話 ある日俺は、前世の記憶を思い出した



 ある日俺は、前世の記憶を思い出した。


 前世の俺は今の高身長金髪碧眼である俺と違い黒目黒髪中肉中背であった。


 それと共に今の俺の現状というか立ち回りというか、人間として最低な生き方をしてきている事に気付き絶句する。


 俺は今まで、自分の親が公爵家であり、さらに長男であるカイザル・ヴィ・クヴィストという事からかなり甘やかされて生きて来た。


 その結果、我慢を知らず、思い通りに物事が進まなければ癇癪を起し、直ぐにキレ、使用人には暴力を振るうような、典型的なゴミ人間と成り果てていた。


 両親はそんな俺を見て叱るどころかむしろ『それでこそ人の上に立つ人間だ』と褒め、更にこのバカを調子づかせていた始末。


 この親は人ではなく猿を育てているのでは? と思われても仕方がない上に、実際に俺は陰口で山猿と言われる事も、今思えばしばしばあった。


 何故今思えばというと、当時の俺はそれが俺に向けた悪口であると思ってすらいなかったからである。


 要は、自制心も無ければ怒りの感情を抑える事も知らない、まさに感情のまま生きる野生動物であるにも関わらず人として注意しようにもその猿の両親は公爵であり、怒らせると猿ごときで自分の首が飛びかねないという、バケモノが今の俺である。


 それ故に使用人たちも俺の事はまるで腫れ物を触るかのような扱いをされてきているので、俺は俺で自分の行いが悪いとすら思わず生きて来た為、その態度や性格を治す機会すら与えられなかったと思うと、ある意味で俺も被害者であると言えよう。


 しかしながら、だかと言って俺がしでかしてきた悪行が許される訳でもなければ『だから許してください』といって許してくれる者など皆無であろう。


 それは、これからは心を入れ替えて(というより前世の記憶を思い出した時点で前世の価値観から今の自分を客観的に見られた訳で、そういう点で言えばある意味で心は入れ替わったと言えよう)過ごし、少しずつ周囲からの信頼を回復させていくしかないだろう。

 

  それでも今まで俺がしでかして来た行為や態度を考えれば、一生許さないという者も、中にはいるだろう。


 それこそ、オリヴィアに関しては間違いなくその一人である事は間違いない。


 貴族間のパーティーで初めてオリヴィアに会った時に一目ぼれして、婚約の話を金の力で今半ば無理やり進めて、オリヴィアの意思など無視して決めてしまった。


 最初は真正面から婚約を申し出たのだ、当然断られたので今現在公爵家という地位を使い俺との婚約を断れない状況へ追いやってしまったのだから質が悪い。


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