(三)-4

 すると近くにいた同じサークルの先輩たちが立ち上がった。

「こんなところで襲撃か! 返り討ちにしてやるぞ!」

 先輩のうちの一人の男が、そう言った。そして手のひらをガーゴイルに向けてかざした。

「ファイアーボール!」

 男の先輩のかけ声が周囲に響き渡った。するとその手の前でオレンジ色の光を放つ、火球が現れた。

「うそだろ」

 俺は口からそう漏らしていた。なんなんだ、あれは?! ここは現実世界ではないのか?

 男の先輩が手を前に押し出すような仕草をする。すると火球はガーゴイルの方へ向かって一直線に飛んでいった。そう遠くない距離にいたガーゴイルにそれは命中し、ガーゴイルを包み込んでしばらくそのまま燃え続けた。ガーゴイルは、空気を切り裂くかのような金切り声の悲鳴を上げた。


(続く)

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