(一)-5

「じゃあ、君はショー君だね。よろしくね」

 マコト先輩はそう言って、満面の笑顔をチャラ男に送った。

 チャラ男はそれで赤面したりはしなかった。女性慣れした経験豊富そうなやつだった。そういう男なら、マコト先輩もきっとだま欺されてしまうに違いない! 俺は心の中でそう叫びながら、この男を絶対にマコト先輩に近づけさせまいと誓った。

 次に立ち上がった男は、立ち上がるときに「どっこいしょ」と声を上げなければ立ち上がれないような体躯の持ち主であった。胴回りはマコト先輩の倍ほどあった。さらに黒縁の丸眼鏡をかけ、アメリカはアイダホ州の田舎で芋畑など営む農夫が着ているような青と緑と赤のチェック柄のシャツとジーンズという格好の男だった。


(続く)

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