ex 似た者同士 中
「ま、まあそんなとこっすね……いや、別にこれはアスカちゃんを軽く見てるとか、そういう事じゃないっすよ!? そこは違うというか……」
一応そう言っておくが、それに対しアスカは言う。
「そう言ってくれるのは嬉しいですけど……この場合、ボクの事は軽く見ないと駄目ですよ」
「え……?」
「アヤさんも気付いたから止まってくれたんじゃないですか? なにせボクはアヤさんが話せないでいた事と何の関係も無いんですから……こういうところではちゃんと関係のある人を重く見ないと。並べちゃ駄目です」
「……」
「で、止まったって事は……その事はボクに言われなくても分かってますよね。ボクへの変なフォローはいらないですよ」
「あはは、そっか……うん。まあその通りなんすけど……凄いっすねアスカちゃん。良く分かったっていうか……」
「あそこまで露骨な反応を見せられると嫌でも分かります。多分自分で思っているより何倍も分かりやすいリアクション取ってましたよ」
「こーれは恥ずかしいっすね……あはは」
……そこまで露骨な感じだったのかと、その時の自分の姿を見られるなら少し見たくなってくる。
……いや、醜くはあるだろうからあまり見たくはないかもしれない。
「でもそれだけショックだったんですよね。それだけレインさん達に聞かれたい話じゃなかった」
「…………まぁ、そうっす」
「一応確認しておきますけど、レインさんが賢者に悪い印象を持ったりはしてないって事、知ってますよね。リカさんも……レインさんの考えに同調しているから。同じなんだろうなってのは」
その言葉に頷く。
それは分かっている……分かっているのだ。
「……気が動転してたような人に言うのは酷っすけど、逃げる必要、ありました?」
そう、分かっている。
だけど……それでも。
「……でも、やっぱり手放しに聞いて嬉しくなるような話じゃないと思うんすよ」
「……」
「レインさん達に知られても多分何も変わらないって事はマジで分かってるつもりなんすけど……いやでもほら、なんというか…………もし、万が一にでも嫌われたらどうしようって。そこまでいかなくても、苦手意識とか持たれたりしたらどうしようって思って…………正直今でも普通に怖いっす」
それを聞いたアスカはしばらく間を空けて……深々と溜息を吐いた。
そしてこちらにジト目を向けて言う。
「なんというか、似た者同士って感じですね」
「似た者同士?」
「レインさんですよ。レインさんも自分のやろうとしている事をアヤさんに話すってなった時、同じような理由でずっと優柔不断というか、ヘタレみたいな事になってたんですよね。嫌われたらどうしようだとかなんとか…………あれ、これアヤさんの前で言わない方が良い奴かもしれない。……まあいいや」
それが良いのかどうかはともかく……一旦ともかく。
それはともかくアスカは続ける。
「アヤさんも似たようなものですよね。嫌われたくないって思う位に信頼できる相手だから、逆に秘密を話せなくなってる……似た者同士ですよ」
そこまで言って、アスカは小さく笑みを浮かべる。
「だから馬が合って仲良くやれてる。あんな滅茶苦茶な人達のパーティに居ながらもこれまでうまくやって来れたんじゃないですかね」
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