キミの本を探して

@yozakura014

【キミの本を探して】



咲月夏菜子は、文芸部の部室へとずんずん歩いていた。


―まただ。またやられた。


部室に着き扉を開けると、そこに犯人、基、如月遥が居た。そしてニヤッと笑ってこう言った。


「今回も面白かっただろ」




【キミの本を探して】





「あーーーー、面白かったですとも!特に草むらに寝転んで2人でラジオを聴くシーンとか!」


「あそこエモいよなー分かるよ」


「でも」


「でも?」


「人のバッグに勝手に忍び込ませるな!!」


「はいはい。それ何回目?」


相変わらずニヤニヤ顔の遥。お顔が整っているだけに、そんな顔も様になる。


「次からは……さ」


私は勇気を絞って声に出した。


「手渡しにしてくれない?」


「ぶっあはは!!ごめん、でも、あはは、腹痛い」


遥は急に真面目な顔になるとこう言った。


「答えを言ってやる。」


夏菜子は息を飲んだ。


「やっだぴょ~~ん、じゃな」


バタバタと遥は部室を後にし、


そこには放心する夏菜子の姿と、


窓から爽やかな初夏の風が吹き抜けていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

キミの本を探して @yozakura014

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画