第7話 自分トリセツ

トリセツとは、取扱説明書の

略らしい。


人間は、ある程度の年齢までに

自分とは、どういう生き物で

物事にどう対処するかという

パターンを決めている

ような気がする。



私は、人の顔と名前を

覚えるのが大の苦手で


それは、遡ると

小学生の頃、社会という教科が

著しく苦手だったことに

通ずる気がしてる。


国語も算数も、理科も

頑張れば100点取れても

社会だけは、頑張っても

30点が平均。


ずっと、そんなものかと

思って、一つの教科として

生きてきたけど


社会って

社会に出て必要な科目だから

社会っていうんだ…

と気付いたのは大人になってから。


それでもね

人とは絡みたいから

努力はしてきたのですよ。


だけど、何せ

覚えられないの、顔と名前が。

初対面で盛り上がるほどに


2回目、3回目に会う時が

1番、緊張する。


ちなみに私、エピソードは

覚えます。鮮明に。

だけど、誰のエピソードか、が

誰か と そのエピソード

の繋がりがいつも切れてる感じ。


自分をよーく見るうちに

なんで、社会が苦手だったのか?

がわかった。



それは、固有名詞の塊だったから

です👀


たった1つのために

付けられた名前。

そういうのが

人間の尊厳 だったり

こだわり だったりするのかも

しれないけど


たった一回

起こった出来事を

説明するのに

名前を付け、


誰かが描いた一枚の絵に

名前を付け


その土地だけに

その建物だけに

その神社だけに

その赤ちゃんだけに

そのペットだけに…


特別だよ、と名前を付ける。

覚えきれないって‼️



……。




そういうのってさ…


そういう人ってさ…



きっと


大切に大切に

生きてるんだな、と思う。



若い頃は

覚えようと努力もしました。


だけど、すぐ忘れちゃうの。

白地図なんかも買って

都道府県を何度も覚えるけど

やっぱ、忘れちゃう。



そして、今。


私は、そういう特性だから

と、思えたら…



私の人生に必要なもの は

こんなに少なかったんだと

気が付いた。


たくさんの同僚を

覚えきれなかったけど

たくさんの同窓生を

すぐ忘れたけど



小学生の頃から

専業主婦が夢だった私には

今、その夢が叶ってる私には

覚えられる分が

必要十分だったんだと


ずっと心に刻みつけたい人は

死んでも持って行きたい思い出は


そんなに

特別じゃなくていいんだと

そんなに

広範囲じゃなくていいんだと

こんなにも、日常でいいんだと



やっと、気付いた。



一生、大切にしたい人を

わきに置いて


覚えられない人にたくさん

時間を割いて

たくさん、悩んで

たくさん、気を遣ってきた。

覚えられない情報を

覚えるために、目の前の

大切な時間を削ってきた。



たくさん、努力して

覚えて覚えて

忘れて忘れられたからこそ


いらなかったんだ、と

気付ける 奇跡。



覚えられないのは

忘れてしまうのは


目の前の 大切なもの

が、霞んで(かすんで)

しまわないように

神様がくれた、虫眼鏡。



すべての私の特性は

長所だと、気付きかけてる

今日この頃。

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