第5話 約束の日

 約束の日になった。


 約束の時間は、19時なので、それまで戦隊ヒーローのフィギュアを買いに行ったり、ヒーローショーを観に行ったり充実した1日を過ごした。


 その後、待ち合わせの10分前に《青蜥蜴あおとかげ》に行ったら、歩美さんがもういた。


「歩美さん、またしてすみません。」


「大丈夫です。私もさっき来たばかりですから。」


「中入りましょうか。」


「そうですね。」


 僕と歩美さんは、店の中に入った。


 ここは奇抜な店名だが、店の中は昔ながらの焼き鳥屋でとてもいい雰囲気で僕の行きつけだ。


「歩美さん、何にしますか?僕のおすすめは、

ももとつくねです。つくねは、中にうずらの卵が入っていてとても美味しいですよ。」


「じゃあそれにします。」


「歩美さん、飲み物は、どうしますか?僕は、ビールにします。」


「私はお酒飲めないので、ウーロン茶で」


 僕は店員を呼び、ももとつくねとビールとウーロン茶を注文した。


 しばらくして注文したものがきた。


 僕と歩美さんは、「カンパーイ」とジョッキをあてて、一口飲んだ。


「美味ーい!ビールはやっぱり一口が最高にしみる。」


「木毛尾さん美味しそうにビールを飲みますね。」


「今日みたいな暑い日ほど、ビールは美味しくてね。」


「私はお酒飲めないけどその気持ちわかります。

冷たい飲み物って暑い日ほどいいですよね~。」

 

 そんなアイドリングトークをしたあと、ももを食べた。

 ·····う、美味すぎる。なんでビールと焼き鳥ってこんなにも合うんだろう。


 歩美さんも目を輝かせて夢中に焼き鳥を頬張ってリスのようだった。


「歩美さん、焼き鳥美味しいですか?」


「美味しいです····最近、ダイエットで、ささみとこんにゃくと野菜ばかり食べていたのでとても美味しいです。」


「それは良かった。歩美さんのような人に焼き鳥屋は、どうかなとL●NEしてから、後で不安になったので、安心しました。」


「お気遣いどうもありがとうございます。私、この店の雰囲気すごい好きです。」


「ありがとう。そう言われると僕も嬉しい。」


 しばらくして僕と歩美さんは、最初に注文した焼き鳥を食べ終わった。


「歩美さん、焼き鳥美味しかったね。」


「そうですね。木毛尾さん、まだ食べ足りないので、他にも注文しませんか?木毛尾さんにまだ奢りと足りないですし。」


「歩美さんありがとう。」


 店員を呼んで、僕は砂肝とぼんじりとレバーとビール、歩美さんは、ももとつくねと皮とウーロン茶を注文した。


 しばらくして、注文したものがきた。


「歩美さん、ももとつくね気に入ってくれたんだね。」


「はい。とても美味しかったので。皮は、気になったので注文しました。」


「そうか。皮もいいね。」


 僕と歩美さんは、焼き鳥を黙々と食べていった。

共通の話題もないから。

 でも、嫌な雰囲気では、なかった。

 逆に心地良かった。


 しばらくして、僕と歩美さんは食べ終わった。


「木毛尾さん帰りますか。」


「そうだね。お腹もいっばいだしね。」


 歩美さんが今日の食事代を払った。

 

「歩美さん、今日は奢ってくれてありがとう。」


「いいえ。木毛尾さんが助けてくださったお礼ですから、私が払うのはあたりまえです。」

 

「でも、歩美さんにたくさん奢ってもらったから、助けた以上もらっちゃったよ、お返し。」


「気にしないでください。私は木毛尾さんに今回払った以上の恩を感じているので大丈夫です。まだ返せていないぐらいですから。」


「僕は、歩美さんのようなきれいな人と、夕食を食べれただけでこの前の恩、返せているよ。」


「木毛尾さん、照れること言わないでくださいよ。」


「本音だよ。僕みたいな冴えない男、君と一緒にいられただけで幸せなんだから。」


「社交辞令、ありがとうございます。」

 歩美さんは、赤面していた。


「社交辞令じゃないよ。初めて歩美さんをみてからきれいな人だと思っていたよ。」


「ありがとうございます。そんなこと言われたことがなかったので。」 


「歩美さん、きれいな人なのに意外だね。」


「私、少し前まで、太っていたんです。だから、今までそんなこと言われたことありませんでした。」


「そうなんだ。努力したんだね。偉いね。」


「木毛尾さん、あんまり私を褒めないでください、照れるんで。あと、何故か他のお客さんこちらを注目してますからもう帰りましょう。」


「ごめん、配慮が足りなかった。帰ろうか。」


 僕と歩美さんは、途中まで同じ道なので一緒に帰っていた。


「歩美さん、さっきはごめん。」


「別に、いいですよ。たくさん木毛尾さんに褒めらて嬉しかったです。木毛尾さんって優しい人ですよね。」


「どうして?」


「私が、今日の夕食奢るって言っても、申し訳ない表情するし。私が、まだ恩返せていないとか言っても、私と一緒に夕食食べれただけで、もらい過ぎているなんて、普通言わないですよ。だから、優しい人だと思いました。」


「歩美さん褒めてくれてありがとう。歩美さんも優しい人だよ。お礼でも、僕みたいな冴えないやつと夕食一緒に食べてくれたんだから。」


「木毛尾さん、冴えない人間じゃないですよ。まだあって2回ですけど、謙虚で、優しくて、一緒にいると静かでも、心地良い存在です。」


「ありがとう。僕も歩美さんといる空間は、静かなのに、嫌な感じじゃなく、心地良かったよ。」


「同じですね。私達、なんだかこれであうのが最後なのは寂しいですね。」


「そうだね。」


「あの提案なんですけど、また一緒に何処か行きませんか?これで最後なのはなんか違う気がして。」


「そうだね、行こうか。」


「私からL●NEでお誘いしますね。」


「はい。」


 そういった後僕と歩美さんは途中でわかれた。


















 


 







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