第25話 失われた世界を

 終わった世界は、今や〝海〟を取り戻し。

 荒廃した大地は、少しずつ、修復されていくはずだ。


 やがて、人々もまた、新たに文明を築いていくのだろう。


 世界に満ちた〝魔素〟に誰かが気付き、〝魔法〟の体系を確立すれば、いわゆる〝魔法文明〟を打ち立ててゆくかもしれない。


 全く別の技術体系〝科学〟を発展させる可能性とてある。


 何はともあれ、少なくとも。

 未来は終わることなく、続いていくらしい。


 これは。

 失われた世界を旅していた……


 これは。



 失われた世界ロスト・ワールドを―――再生する旅―――



 …………………………。



 けれど、文明の話などは、まだ遥か未来、ずっとずっと先の話。


 



「フン、フン、フ~ン♪ 明日は何が食えっかな~、っとくらぁ♪」


「ふん、ふん、ふーん」



 荒廃した砂漠を、鼻歌交じりに。

 バイクを駆って横切る、精悍な男性と、純白の少女。


 自分達の旅が、世界を救っていることなど、露知つゆしらず。

 今日も気ままに、旅をする。


 今はまだ、文明がすたれ、朽ちた世界の中で。


 場違いなまでに明るく、強く、生きている。


 ―――最後に。


 バイクを駆り、風を切って、今日も明日も、旅を続けていく。


 そんな二人が、今はまだ荒廃した砂漠を、進みながら。


 交わす言葉で、締めとしよう。


 それこそが、この失われた世界ロスト・ワールドを旅する。


 二人にとっての。



 ―――オーサンとローストの、かけがえのない、真実なのだから―――

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