第7項 ループ二周目のゴミカス


 目を開ける。

 すると、また寝室だ。


 そう、前回と同じ日に戻ってきたようだ。

 今日は、メイが配属される日。


 俺は鏡をみて、身支度を整える。

 前回と同様、若々しい顔だ。


 だが、少しだけ、棘がなくなったかな。

 前のように、些細なことでムカムカしない。


 うん、今回はうまくやれそうな気がする。


 またメイが俺の専属メイドになる。


 前回は優しくしすぎて失敗した。

 今回は同じ轍はふまぬ。


 きっと、メイは性格が悪い男が好きなのだ。

 だから、前回は、優しい俺様にはなびかず、どうでもいい男と結婚してしまったのだろう。


 初回と同じように、今回は極悪非道を演じることにした。


 今回は前回とは一味違う。

 前だったら、八つ当たりで30人殺したところ、今回は何の理由もなく100人は殺した。

 恋人がいるものは、必ず、囚人の慰み物にすることにした。


 その甲斐あって、ほら、メイのあの目。

 初回の人生にも増して、冷ややかな目で俺を見つめている。


 あれは、絶対に俺様に惚れている。


 だが、今回のループにも問題があった。


 リリスがよこした『良心』。

 あれのせいで、悪行をするとひどく心が痛むのだ。


 ひどいことをしても、前のような愉悦感がない。

 楽しくないのだ。

 むしろ、凄まじいストレスで死にたくなる。


 おかげで、25歳にして薄毛になり、前にも増して肥満体型になってしまった。

 階段を登るだけでも、息切れし目眩がする。

 

 そして、二回目のループでは、26歳の誕生日を迎えることなく、心臓が勝手にとまり死んだ。


 事切れる瞬間。

 メイがそれを見下ろしている。

 そして、呟いた。

 「ルーク様。あなたの姿は醜すぎます」


 そうか。

 メイはデブ専ではなかったか。

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