第2話 海円星
「酸素濃度確認。1ppm以下。80%炭素原子。10ppm間隔で酸素濃度上昇。炭素原子が分裂します。分子反応あり、T−193星に重力発生、分子が合体中・・・」
「さて、なにが生まれてくるのか?あれれ・・・」
「へんてこりんな形してんなぁ。楕円形の塊に2つの部屋、そこから太いのやら細いのやらのパイプみたいなのが生えてきたぞ。すごい勢いだ。」
「細胞活性化中、成分を分解してます。変異しました。本体が形成されます。」
「複雑な細胞だなぁ。さっきの鎖みたいのはなんだろう?おっと、もう出来上がる、見逃すと修証天才博士の座が危ない。」
「まもなく、完全形成・・・・・・・組織構成終了、本体形成完了。生命体完全体に変異完了。」
「いよいよご登場だ。」
銀貨系宇宙からブラックホールにより、他宇宙へと抜けたガス雲のブラックマターとの衝突は、過去、人間が研究者等によって予測された通り多宇宙、マルチバースの存在を顕にした。
今、地球消滅後の新星に降り立ち、この星の成り行きを見守る一つの地球外生命体こそ、もう一つの宇宙からの使者、ナブラミューカント星人だった。
「これが、原子から生まれた生命体か。なんか・・・安っぽい人形。まっ、とにかく、この生命体に合体してこの星に暫く居座ってサンプルを持ち帰らないと。」
「じゃぁ、俺もミトコンドリア分裂!」
こうして、銀河系宇宙に生まれた新たな星、「海円星」での彼のミッションは始まったのである。
新たな星に生まれた生命体を母星に持ち帰るミッションを達成するために・・・。
新たな星に生まれた新人類は、地球人と同じく、言語を持つ生命となった。
「哲!何してんの。モタモタしてると置いてくでぇー!」
「かなんやっちゃな、こいつはお前の取りこぼしやっちゅうねん!」
「ほやったかいな。」
なぜか、この海円星にも北斗、哲が存在した。
時空の悪戯によるものか定かでなかった。
「この生命体、歩きにくいなぁ。そもそも日本足なんて安定感無いよぉ!」
ナブラミュー星人が移り住んだ媒体は、人間とよく似た二本足で歩く生命だ。
その二本の上に、胴と呼ばれる臓器の入った箱型の肉塊があり、その横からこれ又二本の細長い腕と呼ばれるものがニョキッと生えている。
胴の上には、頭と呼ばれるこの生命の中枢機関の頭が突き出ている。
頭と呼ばれるものには、この星独特のスカークという生殖器があり、互いの皮膚から放出されるリバースフェロモンによって触手が頭を突き破り、出現する。
その触手によって彼らは子を宿し子孫を残すことが、ナブラミュー星人の持つ生命鑑識装置によって分かっている。
「しかし、この体の中は何だ。無数の細胞が時間を問わず合体分裂を繰り返しているぞ。だけど、外観には何も変化がない。不思議な生命だなぁ。」
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