ネタバレなしの読書感想

谷 亜里砂

「地下室の手記」ドストエフスキー(新潮文庫)

「地下室の手記」

ドストエフスキー

(2016)

新潮文庫


 独白から始まり、世界観を語り、そして物語が動き出します。主人公のサイコっぷりは、さすが人物描写が緻密で正確なドストエフスキーですね。


 まず世界観を固める情報を出すのは小説の定石ですが、それを独白形式でやってのけるあたり、彼らしいアプローチです。


 吐き気がするようなエピソードもさらりと読めてしまいます。あまりにも文体が美しくて、読ませる迫力があるからです。嫌悪感や処罰感情も沸きますが、それを凌駕して「読みたい」と思わせる、こちらの心は完全にドストエフスキーの手の中でした。


 私もこれぐらいできるようになりたーい!なりたいです!現実は、人間の心が分からない場面ばかりですが、これも修行ですね。

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