詩的魔人の優雅な生活

ポンポコ

第1話魔人とお姫様

とある王国の宮廷に詩人として、雇われている魔人がいた


この魔人、詩を書くことで、自分の存在を証明しようとするほど、

詩にのめり込んでいる


ひと呼んで、詩的魔人


魔人の物語、はじまり、はじまり


とある王国に独りの姫様がいた

この姫様、まだ8歳、お城の中庭で今日も独り遊んでいた


「うわ~、きれいなお花。これで冠作ろうかしら」

今は春、さまざまな花が咲き始め、お城の中庭をそれらが彩る


この姫様、独りでいることを好み、召し使いたちをいつも遠ざける

なので、いつも姫様のお気に入りの詩的魔人が姫様のお供をする


姫様が夢中になって花を摘んでいると、魔人は音もなく姫様の前に現れた


おお、みめうるわしき、シャーロット様


あなたのためにこのお花は咲いているかのよう


神に愛されし、姫よ、今日もその美しきお姿を拝見しにまいりました


と、魔人が言うと、姫様、ちょっと嫌そうな顔をした

「魔人さん、今日もおおげさなご挨拶ね

 ところであなた、お父様の宿題は終わったの?」


魔人はそれを聞くと、ぎくっとしたが、すぐに笑顔を作った

「シャーロット様、それは大人の事情があって、延期になりました」


姫様、うふふと笑うと、魔人に詰めよった

「魔人さん、あなた宿題をやったことないでしょ。

 それでどうしてお父様があなたを雇っているのか、わからないわ」


そう言いながらも、姫様、楽しそう。姫様、魔人をからかうのが、大好き

「魔人さん、ちょうど今、花冠を作ったの

 私に詩を捧げてくれたら、これあげるわ」


それを聞くと、魔人、にっこりと笑い、歌いだした


おお、偉大なる王国よ、その輝かしい後継者たる、シャーロット様、


あなたの美しさにかなうものなし

あなたの賢さを越えるものなし

なれば、こうして、詩人たる魔人、生涯の忠誠を誓います


お~、王国に栄光を

あ~、姫様に幸せを


さん、はい、と魔人が言うと、

従者である黒猫が出てきて、バグパイプを吹いて

魔人の詩に節をつけていく


お~王国に栄光を🎵

あ~姫様に幸せを🎵

(ここでバグパイプ、)ぷぅ~、ぷぅ~🎵


これには姫様、大喜び

「黒猫ちゃ~ん、すてき~🎵」


魔人、まんざらでもなさそうな顔を浮かべると、

姫様に一礼した

黒猫も演奏を終えると、ぺこっと挨拶


「いつもながら、魔人さんのお世辞ぷんぷんの詩と

黒猫ちゃんの大道芸、見事だわ」

というと、姫様、花冠を魔人の頭にのせて、ほほえんだ


詩的魔人の優雅な生活がこうして幕を開けたのであった

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