第18話「買い物」

ドッジボール大会の翌日、エルザは清司と共に電車に乗って隣町のア〇メイトに来ていた。

エルザは日本に来る前にあるアニメを見てその中に出てくる1人のキャラクターが推しになったので、日本に来たらア〇メ〇トでそのキャラクターのグッズを買おうと決めたのだ。



電車に揺られる事約20分……2人は隣町に到着し、さらに駅から10分程歩いた所にある大通り……その一角にあるア〇メ〇トに辿り着いた。


「久しぶりのア〇メ〇トデース……!」


「久しぶりって事は、エルザさん1度来たことあるの?」


「ハイ!3年ぐらい前に日本に遊びに来た事があって、その時初めてア〇メ〇トに来まシタ!」


「そっか。で、どんなグッズが欲しいの?」


清司の質問に対して、エルザはドヤ顔でこう答える。


「〇術〇戦の……ナ〇ミ〇のアクリルスタンドデース!」


「ナ〇ミ〇か……いいね!カッコイイよね!僕も好きなんだ。」


「じゃあ早速探しまショウ!」


「うん!」


そうして2人はア〇メ〇トに入店し、一階のCD、DVD等が置かれているコーナーから2階のアニメグッズが置かれているコーナーへと階段で上がっていく。


「オオ〜!」


「確か〇ャンプ系のグッズはあっちにあったはずだよ。行こう。」


「ハイ!」


清司は人気少年誌の作品のグッズがひとまとまりに置かれている所までエルザを案内しようとするが……


「あの子外国人かな?」


「めっちゃ可愛いなー。」


「一緒にいるの彼氏かな?」


「リア充爆発しろ!(小声)」


「それはもう古いて。」


(め、めっちゃ見られてる……!)


清司とエルザ……というか主にエルザを見てヒソヒソと囁く周りのお客さん達。

エルザはあまり気にしてない様子だったが、清司にとってはとても恥ずかしかった……。


「こ、ここが〇ャンプ系のコーナーだよ!」


「オオ〜!色んなグッズがあるデース!」


「人気作品のグッズは多めにあるから、エルザさんが欲しい物もきっとあるはずだよ。」


「早速探しマース!」


それからエルザは推しのアクスタを探して棚の物色を始めた。

色んな作品の中から目当ての作品が置かれている場所を見つけ、さらにその中から推しのグッズを探し出そうとする。

そして時間が数分経過した頃……


「ありまシタ!ナ〇ミ〇のアクスタデース!……あれ?清司君は?」


「ご、ごめんエルザさん……ちょっと離れてた。」


「清司君は買い物もう済ませたんですか?」


「うん。好きなアニメのカードゲームが今日発売だったから買ってきたんだけど……エルザさんは?」


「ようやく見つけまシタ!今から買ってきマス!」


「うん。」


そうしてエルザは清司と共にレジに向かい、アクスタの会計を済ませる。


「これくだサイ!」


「ポイントカードはお持ちですか?」


「ハイ!」


エルザは無事推しのアクスタを購入する事ができ2人はお店を出たのだが、エルザが清司にある事を提案する。


「もうお昼デスね?」


「うん。」


「近くに〇イ〇リアがあるみたいデスけど……そこでお昼食べていきませんカ?」


「〇イ〇リアね……うん、良いよ。」


そういう事で、買い物を終えた頃時刻は12時を過ぎた辺りだったので2人は近くの〇イ〇リアで昼食を食べる事にした。

しかしエルザには昼食を食べるだけではなく、ある目的もあったのだ。

それは……



パシャッ!


「あ……エルザさんそれって……。」


「推しと一緒に昼ごはんナウ……デース!」


エルザはただ昼食を食べるだけではなく、注文したメニューとアクスタを並べてSNSにアップしたかったのである。

アクスタはこういう使い方もできるので、オタクにとっては良いグッズなのだ。

ちなみにエルザが頼んだメニューはマルゲリータピザ。


「清司君も1口どうデスか?」


「いいの?あ、ありがとう……。」


「代わりに清司君のナポリタンを1口くだサイ!」


「そ、それは関せ……いや、どうぞ!(エルザさんは気にしてない様子みたいだし……僕だけたじろいでるのは変だと思われるかもしれない……勇気を出すんだ中川清司よ……!)」


エルザは自分のピザ1切れと清司のナポリタン1口を交換して欲しいとお願いし、清司は躊躇いつつも勇気を出してナポリタンをフォークで巻いて1口渡そうとするが……


「は、はいエルザさ__」


「あ!これアニメでよく見るやつデース!関節キス……デしたっけ?」


(き、気付かれれたー!!)


「……まぁ良いじゃないデスかそれぐらい!清司君も構わないデスよね?」


「……は、はい……。」


エルザは関節キスの概念に気づいてはいたものの気にする様子は見せず、2人の1口交換は普通に行われた……かに思われたが……。


(わ、私なんて大胆な事を……清司君とか、関節キスを……!)


(いやめっちゃ気にしてる……!)


清司から見れば、無言で恥ずかしそうな表情を浮かべているエルザの顔を見れば、実は気にしていたのでは……という事は簡単に理解できた。


「エ、エルザさ……」


「イヤーもうすぐ夏デスから!暑いデスね!このお店あまりクーラー効いてないみたいデスし!」


「そ、そうだね!なんか熱いかなー……あはは……。」


その後2人は気まずい様子で店を出て、街に帰るまではあまり会話をせず街で電車を降りた。


「き、今日は買い物に付き合ってくれてありがとうございまシタ!」


「ぼ!僕の方こそ……じゃあまた明日……。」


街に戻ってきたのは昼の2時頃だったが、2人はその場で解散し自宅へと帰っていった。


(ま、まさか関節キスなんかでエ、エルザさんの事気にしだしたみたいだな僕……そりゃ初めて会った時から……か、可愛い子だなとは思ってたんだけど……くぅ〜!)


(せ、清司君はただのオタクの師匠……ただのオタクの師匠だから……!)


2人とも、関節キスでお互いを意識する程ピュアだった……これが若さか……だとかなんとか言うけど、異性未経験の2人にとってはまぁ仕方ない事なのだろう。


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