純情のソニービーン

ヒカリ

第1話「出会い」

スコットランドに伝わる都市伝説……「ソニービーン族」。彼らは人を喰らう恐怖の人喰い戦闘民族である。

彼らは今はもう存在しないが、この話は今でも語り継がれている。

しかし、もし彼らの末裔が今もこの世界のどこかで生きているとしたら……。


これは、ソニービーン族の末裔である三姉妹が巻き起こす物語……ではあるのだけど、若人達の愛に溢れた物語でもある。



東京、蟹針高等学校。

偏差値は平均的でこれまでに特に問題とかも起こっていない、フツーの高校である。


「昨日やっとルシファーズクエスト5部作見終わったわ〜。」


「またクソ映画か?懲りないね。」


「いや今回「は」神映画だった。次はクソ映画見るけど。」


1年A組男子高校生、三条映太は隣の席の幼なじみ、虎雅翔子にそう話す。

彼の趣味は映画とアニメ鑑賞で、たまにちょっと問題があるタイプの作品を見たくなる癖がある。

そんな彼を物好きの変態だな、と思っているのが翔子だ。


「さすがクソ映画ハンター。」


「そんなんじゃねーし。神映画もクソ映画、見るのは半々ぐらいだし。」


続けて映太の席の前に座る、翔子同様映太の幼なじみの中川清司が映太に皮肉を飛ばし、彼は笑いながらそれを受け流す。


「清司、お前が好きな特撮でクソ作品は無いのか?」


「特撮作品は全部神に決まってるよ!特撮をSNSでバカにしたら袋叩きにされるから気をつけてね!1部の人がやいやい言ってる作品にだっていい所は絶対あって(中略)」


「おぅ、悪ぃ悪ぃ。」


「……ぼ、僕もつい熱くなってしまった。」


清司は映太の発言が聞き捨てならず怒涛の反論をする。

彼は生粋の特撮オタク……というか特撮に限らず、アニメとかプラモデルとかカードゲームが好きなオールラウンダーオタクである。


「清司、コイツの頭はクソで毒されてるから多少お灸を据えてやっても構わねーぞ。」


「ひでぇ!」


翔子はこの3人……いわゆる三馬鹿というやつのリーダー的存在なのだ。

趣味は可愛いものを集めたりスイーツを食べたりスポーツをしたりと、年頃の女子高生だなと言った趣味である。


「お前ら席につけー。」


その時、教室にA組の女性教師が入ってきて生徒達を席に着かせる。

そして全員が席に着いたのを確認した教師はある事を生徒達に伝える。


「突然だが、このクラスに転校生が来る事になった。」


「転校生!?マジ!?」


「どこから来た人かな?」


「外国から来た金髪美少女である可能性に賭ける……!」


教師の言葉を聞いてザワつく生徒達。

彼は「静かに」と言って生徒達を静かにさせ、続けてこう説明する。


「転校生は3人だ。親が日本料理を学ぶ為に日本に滞在する事になり、残金はそれに付いてきたそうだ。入ってきなさい。」


教師が教室の扉の向こうで待機している留学生を呼びかけると、3人は扉を開けて教室に入ってきた。


映太、清司、翔子を含むクラスの皆が一体どんな転校生が来るのかと期待し、そしてクラスに入ってきた3人の転校生に目を奪われた。


「金髪美少女キター!」


「合法金髪JKかよ!」


「金髪JKは校則違反であっても脱法ではねぇよ。」


クラス中が盛り上がるのも無理は無い……3人の転校生は教師が言った通り外国から来た3人の女の子で、1人はまるで人形のような美しい顔出ちと小さな身体、そして上質な絹かと見まごう金髪が特徴の子。

1人は凛とした立ち姿と明るい笑顔、そして上質な絹かと(中略)金髪が特徴の子。

最後の1人は3人の中で最も背が高く、おっとりとした優しい表情と上質な(中略)金髪が特徴の子。


3人それぞれがまるで天使のような可愛さ、美しさを持っている子達だったのだ。

これにはクラス全体が盛り上がるのも無理はない。

彼らはこれからこの3人と共に学校生活をしていく事になるのか……と胸を踊らせた。


「3人とも、自己紹介をしてくれ。」


教師が3人に自己紹介をするよう促し、おっとりとした表情の子が他の2人に耳打ちし、小さな子→凛とした子→おっとりとした子の順番で自己紹介をする事になった。


「では私から……初めまして。私はエリナ・ブラッドレインと申します。こちらの2人とは3つ子の関係です。私が末っ子です。スコットランドから来ました。父が日本料理を学びたいと言ってこの街に引っ越す事になったので私達もそれに着いてきました。この通り日本語は一通り話せますが、日本での生活は初めてで何かと不備があるかもしれません。不束者ですがよろしくお願いいたします。」


エリナはそう言って頭を深く下げて自己紹介を終えた。


「3つ子……つまり奇跡の子って訳か。」


「かわえ〜。」


「仲良くなれるかな。」


「戦闘力は……平均レベルといった所か。」


3人が3つ子である事に驚く生徒達。

続けて凛とした子が自己紹介をする。


「初めましテ!!次女のエルザデース!!日本ダイスキ!!日本の事沢山勉強してきまシタ!!皆さんよろしくお願いしマース!!」


エルザは元気に挨拶をし、クラスのほとんどの生徒は彼女に対しての好感度が初見でふっ切れた。


「語尾がカタカナの喋り方はクセ強すぎだろ……可愛いから良いけど。」


「日本大好きっ子か……しかも可愛い。」


「戦闘力は……大したものだ。」


そして最後におっとりとした子が自己紹介をする事になり、彼女は1歩前に踏み出して自己紹介を始める。


「皆さんこんにちは。私はエルシャナと申します。エリナちゃんとエルザちゃんの……保護者です♡」


(……え?)


エルシャナの自己紹介を聞いた生徒達の頭の中は「え?」で覆い尽くされる。

だがクラスのオカン的な存在はいるに越したことはないなと考え直し、それと留学生である事の付加価値も考慮して、皆エルシャナをあっさりと受け入れた。


「エリナちゃんとエルザちゃんが可愛い系ならエルシャナさんはお姉さんっぽい感じか。」


「私エルシャナさんと仲良くなりたいな〜。」


「戦闘力は……ナニッ!?スカウターが壊れた!?いいモノをお持ちで……!!」


そうして3人の自己紹介は終わり、それぞれの席に着かせれた。


「これからは新しい仲間を迎えて1年A組はやっていくので、皆仲良くな。ではホームルームを開始する。」


そうしてホームルームが始まり、その後の1限目開始までの10分間、A組生徒一同による3つ子留学生とのファーストコンタクトが始まった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る