湖面の欠片

 観光名所と名高い湖の傍で湖面の欠片を売っていた。大小様々な大きさの鏡をそう名付けて売っているらしい。これも旅の思い出、とストラップに加工された一番小さな鏡を選ぶ。

「鏡じゃありませんよ、お客様。これは湖面の欠片です」

 店主の言った事は本当だった。親指の爪程の小さな湖面の欠片は開封すると水面の如く波打ち、白鳥が何羽も遊泳し始めた。

「これは凄い」

 が、少し小さすぎたな。次に行ったらもっと大きな欠片を買おう。

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