遥かな月の記憶
水面に映った月を掬う。壊さないよう慎重に。口の広い硝子瓶に入れてコルク栓をしっかり閉めれば、さあこれで今日の月が取れた。
「さて、今日はこれ」
ずらりと並ぶ中から一瓶選ぶ。十六夜の月。満月の時より少しだけ遅れてくるのんびりしたこの月が一番好きだ。籐椅子に沈み込むように座って栓を抜くと閉め切った部屋いっぱいに星が広がって、束の間ここは夜の劇場。開幕のベル。いつかの夜に昇った月の記憶が今宵再び上演される。
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