鳩目惚れ

 好みの鳩が庭にいたので結婚することにした。高貴な家の姫なので猛反対されたが関係ない。力があれば道理を通せる、古今東西それが世界の掟である。私達を引き裂かんとする不逞の輩をばったばったと薙ぎ倒し焼き払い捻り潰したその末に、

「産まれたのがお前だよ」

 教えてやったが息子は信じてないようだ。その背に羽がある理由など一つだろうに、頑固な性格はどこの誰に似たのだか。溜息をひとつ、私は今日も愛しい夫の羽を撫でる。

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