さよならの代わりに
星が無い夜にここを発つと決めていた。荷物はこのトランクに入るだけ、他の物は置いて行く。あまりに居心地が良くて長居をしたがもう行かなければならない。ふとどこからかピアノの演奏が聞こえてきて立ち止まる。優しく物悲しいその旋律は別れの曲だ。偏屈な癖に繊細なその音はあの男のものに間違いなくて思わず笑う、見送りがこれとは何とも奴らしい。満ち足りた気分で歩き出す。柔らかな旋律に守られての旅立ちも、悪くはない。
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