ラナキュラス学園AF回収部〜お仕事は青春の後で〜
ケルケル
第1話 ユーリとの出会い
「お前には無理だ」
子供の時からそう言われ続けた。
「お前には才能がない」
親からも兄弟からも言われてきた。
俺が父親が愛人との間に作った子供だったのも原因の一因ではあるだろう。
愛人と父はその後すぐに別れ、俺は父親に引き取られた後、父の本当の奥さんのもとで一緒に住むこととなったのだ……母親が俺に対して良い感情を持っているわけがないからな。
しかし、実際、俺は腹違いではあるが兄弟たちと比べて言葉を喋れるようになるのも、魔法を使えるようになるのも遅かった。
父親は早くして亡くなり、残った義理の母親は俺を厄介者として扱った。
もう少し俺が有能だったら、才能が何かあれば……母も少しは愛情を注いでくれたのだろうか。
だが、それはもお過去の話だ。
俺は父の死後、すぐに家から追い出されてしまった……父がなんとか母に俺が住んでも良いようにと説得していたらしい。
当時俺は6歳だった。
俺は初めは嫌いな母親から離れられると喜んだ。
いつも一人で遊んでいる森の中にある秘密基地で一生暮らして行くんだと宣言してやったくらいだ。
だが、現実は甘くなかった、すぐにお腹が好き、力が出なくなった。
そして森の中でついに一人倒れてしまった。
そこで俺の人生は終了したと思ったが……気がつくと俺は見知らぬ少女に膝枕されていた。
彼女は一生懸命、干し肉を噛んで俺に口移しをしてくれていた。
「――――ゴホッ――……君は?」
彼女は起きた俺に気付き、向日葵のような明るい笑顔で答えてくれた。
「おはよう、お寝坊さん……私はユーリっていうの、よろしくね。あなたのお名前はなんていうの?」
「僕は…………ないんだ……」
「記憶がないの?」
「ううん、僕はもう捨てられたんだ……だから、僕も昔の僕自身を捨てた――今の僕には名前はないよ……」
「面白いね君……じゃあ私が名前つけてあげると……う〜ん、何が良いかな〜…………もうちょっとあなたのことを教えてくれない?」
「僕のこと?……僕はもう過去を捨てたんだから、何もないよ?」
「……何もない……決めた!あなたの名前はエーデルワイスよ!わかった、エル?」
「エル……?」
「エーデルワイス、略してエルだよ」
「エーデルワイスか……ありがとうユーリこの名前大事にする」
「うん、そうしてくれたら嬉しい」
これが俺とユーリの出会いだった。
ユーリは花の精霊だそうで、どうやら俺が秘密基地にしていたこの森一番の大樹の上にいつもいたそうで、俺のことをよく見ていたそうだ。
そして、俺はもう帰る家がないとい事情をユーリに話すと、ユーリはここで暮らせばいいと快く匿ってくれた。
ふと疑問に思い、食べ物はどうするのか聞くと
「そんなの、私がどうにかするよ」
と自信満々に答えてくれた。
ユーリは俺に色々なことを教えてくれた。
一人で生きていくために必要な知識、能力をだ。
その中で一番力を入れてくれたのは魔法についてだ。
俺は魔法について才能はなかったが、そんな不出来な俺にユーリは手取り足取り教えてくれた。
そして俺もそんなユーリに応えたいと思って努力を惜しまなかった。
そのおかげか俺は10歳になる頃には土魔法限定だが、自分の手足のように魔法を発動できるように成長し、ユーリが魔法で作った薔薇人形には勝てるようになった。
ユーリ曰く、薔薇人形は一体で街の衛兵5人分の強さがあるらしい。
その後は二人で俺がかつて住んでいた村とは別の、近くにある村で魔獣の討伐などの依頼を受けて生活していたが、ある時その村を訪れた都市からやって来た冒険者たちに、都市にある魔法学校と言うところに言ってみたらどうだと言われ興味を持つと、ユーリも「そろそろ別のところに住むのも悪くないわね」と乗り気だったため、俺は15にして都市の学校に通うことを決めた。
その時ユーリとは精霊契約を結んだ。
こうしないとユーリは魔力の供給がなくなって消えてしまうらしい。
これまで住んでいたあの大樹のある場所は魔力が自然に湧き出る、マナスポットだったそうで、契約しなくても問題なかったそうだが、都市での生活には必須ならしい。
まあ、ユーリは契約を結ぶとき、「これで、エルに悪い虫が付かないようにできる……私のエルなんだから……///」とかとく分からないことを言っていたが……
そんなこんなで俺は魔法学校に通うこととなった。
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