第32話 プレゼントを贈ります
まずはフレンド欄からアリスちゃんに連絡。
どこにいるかなー?
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モモ『こんにちはー』
アリス『モモだー! げんき?』
モモ『元気だよー。アリスちゃんに会いたいんだけど、お暇な時はありますか?』
アリス『いま! モモとあったこうえんにいるよ』
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おお! ナイスタイミングだったみたい。子猫がまた木にのぼっておりられなくなったって感じもしないし。
——————
モモ『じゃあ会いに行くね!』
アリス『うん、待ってるよ!』
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るんるん。
街を跳ねる感じで歩いちゃう。久しぶりに会えるのが嬉しいんだからしかたないよね。
「あ、飛ばないと、道覚えてないや……」
地図はあるけど、あの公園は入り組んだところにあるみたいなんだ。飛んだ方が早い!
というわけで、びゅーんと飛んでみる。
最初に街を飛んだ時より、飛ぶ速度が上がったから、なんだかアトラクション気分だ。調子に乗ると、滞空時間を超えちゃって落下するから注意が必要だけど。
この街は何度見ても綺麗。今のところ天気は晴ればっかりだけど、雨に濡れた街も素敵なんじゃないかな。
「夜空を飛ぶのも楽しそうだなー」
ふとそう思ったけど、夜飛ぶならきちんとライトとか用意しないとまずいだろうな。
後でレシピを調べてみよう。
「——あ、アリスちゃんはっけーん!」
住宅街の中にある小さな公園。
木の下で子猫と猫じゃらしで遊んでるみたい。ほのぼのだね。
シュタッとカッコよく地面に降り立つ——つもりだったけど、バランスを崩した。ヨロッと転びかけて、意地で踏ん張る。
「わぁ、モモ……だいじょうぶ?」
「だいじょぶだいじょぶ」
……恥ずかしぃ。転びかけたところ、目撃されちゃった。
アリスちゃんが慌てて近づいてくるから、ジャンプして元気アピール。
防御力のおかげで滅多に怪我しないので、ご心配なくー。
「それなら、いいけど……」
「見なかったことにしてください。それより、アリスちゃんに久しぶりに会えて嬉しい!」
「わたしも!」
にこにこ。アリスちゃんは相変わらず可愛いです。今日はラベンダー色のワンピース姿。似合ってるね。
……これは、ネックレスも合う服装なのでは? 喜んでもらえるといいなー。
「今日はアリスちゃんにプレゼントを持ってきたんだ!」
「プレゼント? わたし、たんじょうびじゃないよ」
「あ、そういうのじゃなくて」
不思議そうに首を傾げるアリスちゃんの手を引いて、転寝を始めた子猫の隣に腰掛ける。
ここ、涼しい風が吹いてきて気持ちいいねー。
「この前、アリスちゃんが僕に光魔石をくれたでしょ?」
「うん。モモにひつようかなっておもって」
ほーう? アリスちゃんは人それぞれ違うものを贈ってるのかな?
それなら、もしリリたちがアリスちゃんに会っても、違う属性のものかもしれないのか。
……あ! 二人にアリスちゃんと連絡とれるよって伝え忘れてた。
シークレットミッションを進めたいようなら、教えてあげないと。
忘れない内にフレンド欄からメッセージを送っとく。今はログインしてないみたいだけど、これに気づいたら連絡くるでしょ。
それはともかく——。
「アリスちゃんにもらった魔石、良い物だったみたいで、すごく助かったんだよ。アリスちゃんが仲良くしたいって思ってくれてるの嬉しかったしね。だから、ありがとうって伝えたくて、プレゼントを用意したんだ」
アリスちゃんは目を丸くしてる。
でも聞き終えてすぐに、ふにゃっと照れくさそうに笑った。……最高に可愛いな!
「モモがよろこんでくれたなら、よかった」
「めちゃくちゃ喜びましたとも! でも——」
ちょっと言葉を続けるのを躊躇う。
友だちの証としてもらった魔石、錬金術に使っちゃったんだよね。アリスちゃん、どう思うかな?
アイテムボックスから錬金玉を取り出して見せる。
「光魔石、錬金術に使ったから、もう見れないんだ。……勝手に使って、怒る?」
窺うように見上げる。
悲しい顔されたら、僕も泣きたくなっちゃうなって思ったけど、アリスちゃんは首を傾げただけだった。
「おこらないよ。モモにあげたものだもん。それをつくったの?」
ホッとした。アリスちゃんはほんとに気にしてないみたい。
怒らないだろうとは思ってたけど、悲しまれることもなくて良かった……。
「うん、錬金玉っていうんだ。——」
錬金玉の説明を続けてしたら、アリスちゃんは目をキラキラと輝かせる。……ま、眩しい。
「じゃあ、モモのおしごとどうぐなんだね! それをつくるためにつかってもらえて、わたしもうれしい!」
今度は僕が目を丸くする番だった。
「アリスちゃんも嬉しいの?」
「だって、パパが、おしごとどうぐは、しょくにんのいのちみたいなものだっていってたから。モモにとってたいせつなものに、わたしがあげたものをつかってもらえるなら、うれしいよ!」
アリスちゃんって光属性かな?
心がふわふわと温かくなる。うーん、癒やしだ……。
「ずっとずっと、大切にするよ!」
錬金玉を掲げて宣言する。
これは僕の命みたいなもの。そう誇れるように、錬金術のスキルも鍛えよう。
「うん! れんきんじゅつしさん、がんばってね」
アリスちゃんに応援されたら、がんばらないわけにはいかないねー。
——って、プレゼント渡すのが本題なのに、ほのぼのまったりしちゃってた。
「がんばるよ。それでね、プレゼントなんだけど、これ、新たな友だちの証にしない?」
アイテムボックスから小箱を取り出す。
緊張しながら差し出したら、アリスちゃんは期待した顔で嬉しそうに受け取ってくれた。
「なんだろう?」
「開けてみて」
ドキドキ。どんな表情になるかな。
気になって、じぃとアリスちゃんをみつめちゃう。
スルッとリボンが解かれる。
ゆっくりと開いた箱の中身を認めた瞬間、アリスちゃんの目が大きく見開かれた。見惚れた感じで凝視してる。
「きれい……」
「錬金術で作ったんだよ」
「そうなの? れんきんじゅつ、すごいね」
壊れ物を触るように、アリスちゃんはチェリー花のペンダントトップを撫でてる。
ほっぺたが赤くなってて可愛いなー。喜んでもらえたみたいで良かった!
「つけてみてよ」
「……わたしがつけて、いいのかな」
「アリスちゃんのだもん。良いに決まってる」
「ふふ……ママがパパにもらったネックレスみたい……」
照れくさそうにしながらネックレスを取り出したアリスちゃんが、慣れない仕草でつけてくれる。
僕の手、あんまり器用じゃないから、手伝えなくてごめんね。
それにしても……ママがパパにもらったネックレス? アリスちゃんの家族にとって、ネックレスって特別な感じだったりする?
ちょっぴりランドさんに睨まれる可能性を考えてヒエッとなった。
……し、しかたない、よね? 知らなかったし、単純に友だちの証だから!
「ね、どう? にあってる?」
アリスちゃんの首元にシルバーの鎖。胸元で揺れるのピンクの花が大人っぽいけど可愛らしい。
あんまり語彙力ないから、思いを全部伝えられないんだけど——。
「すっっっごく、似合ってる! 可愛いよー」
「ほんと? ありがとう」
力強く伝えたら、ニコッと笑ってもらえた。僕も心がるんるんします。嬉しいなー、幸せだなー。
プレゼントって、どうして贈る側も楽しくなっちゃうんだろうね。——きっと、喜びで輝く顔が、一番のプレゼントだからなんだろうな。
「——これが、わたしとモモの友だちのあかしだね」
「うん! ずっと友だち!」
錬金玉も、友だちの証として、錬金術士の命として、大切にするよ。
〈
……おっと?
なんか称号もらっちゃった。前にもらった【あなたと仲良し】と同じで、
効果がどれくらい意味あるかはわからないけど、アリスちゃんとめちゃくちゃ仲良くなれたのは嬉しいな!
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◯NEW称号
【愛し愛される者】
取得条件は、
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