主人公の幼馴染みの俺だが、俺自身は振られまくる

作家目指すもの

第1話

俺は一条理。どこにでもいる普通のオタク高校生だ。昨日のるんのライブは最高だったな。あんな可愛い声で起こされてみたいものだ。きっとでれでれしながら何回も聞くために起きないだろう。まぁそれは置いといて、俺は今なにをしてるかというと、幼馴染みの義孝の部屋の前で待っている。どうせ可愛い妹といちゃいちゃして、遅れてるんだろうけどな。ちっリア充め爆発しろよ。


「悪い遅くなったね。和美があーんをしてきて、それを断っていたら、あーんするまでご飯は食べさせないよと言ってきたから、それを粘りながら断っていて、食べないでいようとしたら悲しそうな顔をしてきたから、結局あーんをしてたら遅れたんだよ」


ほらなやっぱいちゃいちゃしていただけだろ。義孝は美少女によくモテるのだ。それは妹関係なしにな。しかもこいつの妹めちゃくちゃ美少女だし、義理なんだぜ?マジで主人公だよな。そしてあだ名は主人公。男にはよくそう呼ばれて、嫉妬されている。こいつといると美少女によく絡むが大体が俺ではなく義孝に好意をもって接してくる。俺はついでた。特にイケメンでもなくどっちかというとオタクよりなんだけどな。しかも主人公イベントも俺も一緒に解決に奔走してるのにモテるのは義孝だけだ。現実とは非情だ。


「まぁいい、いつものことだしな。それより早く駅行くぞ。次の時間は混むからな」


流鉄を使ってるのは、竜華高校の生徒がたくさん使うから混むのだ。それに桃井先輩にも会えなくなるし。それは困る。桃井先輩に朝会うか会わないかで、俺の今日の調子が変わる。


「そうだね、あまり桃井先輩を待たせるのも悪いしね」


俺達はあるいて電車移動を開始した。今は六月で少し暑い時期だ。高校一年生である俺達は学校に慣れ始める時期でもある。三年生は本格的に受験勉強開始する時期だろう。竜華高校は進学校だからこの時期から、三年生がピリピリし始める。ちなみに桃井先輩は二年生だ。

 

「そういえば桃井先輩と進展あったのかい?」


「ああ、この間勉強を教えてもらったぞ。図書館で」


めちゃくちゃいい匂いがして、集中できないで、ぼんミスを結構したな。そのたんびに桃井先輩に呆れられていたが、本心では俺のことを可愛いと思ってるに違いない。だって桃井先輩は俺のことを好きなんだから。今まで俺を振ってきた女子はみんな義孝が好きだったが、誰にでも優しいが、中学の頃からの付き合いでもある桃井先輩は俺のことを好きに違いない。好きじゃなきゃ二人きりで、勉強なんかしないはずだからな。


「そうか、それはよかったね。僕は応援するよ。今度はうまくいくといいね」


義孝は俺が好きになった女子が、義孝のことを好きだったことを知らない。まぁ義孝は鈍感だしな。今まで好きになった女子は義孝にいい顔しようと俺に優しくしてきて勘違いして振られてきたが、今回はうまくいくはずだ。


「そうだな、それで告白場所と言ったら、やっぱり体育館裏がいいのか?」


「公園もありだけど、高校生特有の青春場所と言ったら体育館裏だね。アニメでもよくそこが告白場所になったりするし」


義孝はよくモテるが、告白されたことは数回しかない。だから自分がモテていることを知らない。だから今まで、好きになってくれた女子も告白しないで、終わっている。美少女が多く自分じゃ相手にならないと思ってるのが、理由の一つだろう。


「それより先にデートには誘わないのかい?」


「いやデートに誘ったら来るだろうが、やっぱり腕とか組みたいからな。付き合った後がいいんだ」


腕を組んで胸を当ててきて、俺が当たってますよと言ったら、当ててるんだよと赤面しながら言われるのが理想だ。アニメの見すぎって?オタクなんてアニメを現実に再現したいものなんだよ。


「そうなんだね、リア充め。羨ましいよ」


「お前には言われたくねーよ。美少女の妹といちゃいちゃするやつとはな」


「あれは兄妹のスキンシップだよ」


これだから鈍感主人公は。義理の妹があーんを好きでもないやつに、要求するわけないだろ。ちょっとは心理学でも勉強しておけ。


「まぁいいか。義孝はうまくいくことを願ってくれ」


そんなことを話していると駅に着いた。すると周囲の視線を一点に集中させている美少女がいた。パッチりとしたでかい目に、スーと通って高い鼻に、小さい唇に、ショートボブな髪型。その姿はまるでアニメの美少女を見てるみたいだ。


「桃井先輩おはようございます」


周囲から嫉妬の視線を浴びせられるのに、それを気にせず、挨拶をする義孝はさすが主人公と言ったところだな。俺なんて刺すような死線があって、ビクビクしてるのに。かといってここで俺だけ挨拶をしないのは好感度を下げることになるので、俺も挨拶をする。


「おはようございます桃井先輩。今日も美少女ですね。まるでアニメからでてきたヒロインのようです」


これは義孝と接していることで身に付いた誉めることだ。義孝はよく無意識に相手を意識させるようなことを言う。それをやれば、俺もモテるかもしれないと思ってやってることだ。


「おはよう。一条くんそんなに誉めてくれて嬉しいよ」


そこで義孝は桃井先輩をジーと見た。なにか変わってるところでもあったのか?


「桃井先輩化粧いつもよりナチュラルですね。いつもより可愛いですよ」


なんで化粧に気づけるんだよ。これが主人公との違いか。桃井先輩は赤面する。なんか俺の時と反応違くない?恋する乙女のような。いや俺のことが好きなんだから、きのうせいか。


「ありがとう。近江くん嬉しいよ。それじゃ電車がきたし私達も乗ろっか」


ちょうど流鉄が来たようなので、俺達は乗ることにした。周囲の嫉妬の死線を浴びながら。











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