24 頑張れ。人生に負けんなよ。

 頑張れ。人生に負けんなよ。


 天体観測に行った五月の長期連休の終わりの数日後の放課後。


 雨続きの日の久しぶりの晴れの日。


 雨と愛は学校の帰り道で、いつものように二人の別れる道のところまでやってきた。

「じゃあね。また明日」

 雨に手を振りながら、愛が言う。

「愛。ちょっと待って」

 雨が言う。

「……? どうかしたの?」

「少しだけ話があるの。……水瀬くんのことで」

 真剣な表情になって雨は言う。

「それってさ、大切な話?」

 雨はうなずく。

 愛は少し考える。

 あまり、いい予感はしない感じだった。でも、水瀬くんのことで、と親友の雨に言われて、その話を聞くことを断ることは、どう考えても、愛にはできないことだった。

 ……どうせ、いつかはぶつかる壁なのだ、と愛は思った。

「わかった。いいよ」

 と愛は言った。

 それから二人は寄り道をして、夕焼けに染まる土手沿いの芝生の上で、少し話をすることにした。

 ……世界が、真っ赤な色に染まってるな。

 時刻は黄昏時。

 午後四時の赤い夕日に染まる世界を眺めて、愛は、自分の気持ちに正直になる、その覚悟を決めた。


 そして久しぶりに二人はその日、正直になって、ぶつかって、言い合いの喧嘩をした。(もちろん、すぐに仲直りはできたけど、二人とも本気で泣いてしまった)


 それで、雨の迷いは綺麗さっぱりと吹っ切れた。(もちろん、愛の迷いも)

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