錦魚葉椿「Under the Storm」
・錦魚葉椿「Under the Storm」
→https://kakuyomu.jp/works/16818093078474703306
大学時代の集まりに参加した菜々緒。新卒として、仕事の大変さを語り合う同級生たちの話に、耳を傾けるだけなのは、自分の仕事の話が出来ないから――とある若い女性の一週間を描いた、お仕事系現代ドラマ短編。
錦魚さんは、四月と五月に引き続いての参加です。「真新しい靴がステップ」と「いつまでも輝く母へ」はファンタジー寄りのお話でしたが、今作はがっつり現代ドラマど真ん中です。
えー、こちら、書評しといてなんですが、読むときは覚悟を決めてください。特に、ブラックな職場に心当たりがある方。私は、一行読み進めるごとに、ボディブローを受けたかのように、じわじわ来ました。
とにかく、ずっと息苦しい思いをしながら読んでいます。いや、それが本作の狙いでしょうから、それは当たっているのですが。あらすじを見ると、「水中」をイメージしているようなので。
今年、同じような思いで読んだり見たりした作品があったなぁと思い返してみると、津村記久子さんの小説「十二月の窓辺」と映画の『ラストマイル』でした。「十二月の窓辺」は、超絶パワハラに苦しめられる話で、『ラストマイル』は、ネット通販の安さと速さの犠牲になっている人の話と、描いているものはそれぞれ違いますけれども。現代社会は一体いくつの地獄を生み出せば、気が済むのでしょうか。
もちろん、どっちがマシか、という話ではありません。ただ、水中から浮上した際に、頭上には青空が広がっている、そんな世界であってほしいと、思ってやまない一作でした。
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