魔導書

魔法をつかう。それが今の第一目標だ。魔法が使えないと私は多分旅に出ることができないだろう。

とりあいず、本が有りそうな場所を探さないと。この家は、それなりの広さなのですべての場所は確認するのは骨が折れる。

まずは、リビングだ。流石に置いてないと思うけど一応確認しなければ。

リビングを隅々見渡してみる。椅子の下、棚の上、机の上、あらゆるところを探してみたけど結局、リビングに魔導書は置いてなかった。別の場所を探そう。


そういえば以前お母さんから文字を教わったとき紙を使って教えてくれた。お母さんが言うには以前紙は貴重なもであったが、紙作成に便利な魔道具が発明されたとかで、一気に普及したようだ。

今までなんで忘れてたんだろう。この世界の文明は明らかに前世よりも劣っているが、魔法があるためそこら辺の量産体制は整っているようだ。

ここは、異世界だ。文明の発展は魔法による依存が強いと考えるべきだろう。

機械の作成よりも魔法の研究を、魔法が発展したら次に魔道具を。前世と文明の発展方法は全く違う。


つまり、印刷機がなくてもそれに準ずる魔道具が存在していれば本というのはそう貴重なものではなくなる。少し希望が見えてきた。早く探そう。


次に父の部屋だ。父はあまり本読むタイプではないと思うけれど本の1つや2つあるのではないだあろうか。

(初めて入るから、なんだか緊張するなあ)

よし、扉を開けるぞ!

扉を開けた先は、古臭さを感じ一方で、とても安心するような心地よい感じがした。それは、どことなく父親の姿を感じさせるようだった。ドアから少し進んだところには、机があり何やら紙が散らばっている。父はここで仕事をしているのだろうか。

うーん、ここにはなさそうだな。他を探そう。

次は、棚を見てみる。大きな棚だ。私の身長何個分の高さだろう。上の方は私では届きそうにはない。

椅子の上で立つしかないか。

ふむ、ここにはいろいろな書類が入っている。これは多分お父さんの仕事関係だろう。

なになに、これは、

『今年の、農作物の収穫量』

『村の人口推移データ』

『商売取引関係』

まさかお父さんこんな仕事していたのか。まさか、父がこんなややこしそうな書類データを扱ってるなんて。そんな几帳面な性格ではないと思っていたけど。

別に几帳面じゃなくても書類仕事はできるということなのだろうか。

にしても本がまったくないな。お父さんはやはり本は読まないのかな。

最後に引き出しの中だけ見ておくか。

父の机はとても使い古されている感じがする。少し傷が入っていて新品の状態には程遠いけど、それはそれで味が出ている、心地よい感じだ。

引き出しを開ける。

んん?何だこれは。

多少わからない文字があったがそれでもなんとなくは分かる。

『周辺エリアで大きな魔力反応感知』

『調査隊派遣予定』

多分、こんな事が書いてあると思う。もしかし重要な用事がというのはこれのことだろうか?

だとしたらどうして両親が家を開けるのかにも説明がつく。

もしかして危険な目にあったり、いやいや余計なことは考えないでおこう。

お父さんは強そうだし、あ母さんからはなにか不思議な力を感じる。

多分、魔物ができても二人なら大丈夫なはず、たぶん、、

しかし結局この部屋からは、魔導書は見つからなかった。そもそも、本すら置いてなかった。

あるのは、大量の紙だけだ。

予想外の収穫はあったが、目標には達成していない。


さあ、気お取り直して次の場所だ。

というか、次が最後の探索場所なんだけど。

それは、お母さんはの部屋だ。お母さんは、口調から魔法をたくさん見てきたっぽいし、たぶん、お母さんは自身も魔法を使えるんじゃないかな。偏見だけど、お母さんは絶対頭良いし、魔法の知識もしているだろう。

間違いなく、この場所が最後の希望だ。ここに魔導書がなかったら潔くお母さんにおねだりしよう。魔法を教えてくださいって。


お母さんの部屋の前まで来た。なぜかお父さんの部屋に入るよりも緊張する。

なんか見てはいけないものが入ってるかもしれないからだろうか。

でも、背に腹は代えられない。よし入るぞ。


扉を開けると不思議な感覚がした。

これは単に匂いや、部屋の空気感、雰囲気からくるものではない。

自分の体が刺激されるような、自分の血液を何かがハイ巡るような。そんな感覚。この感覚は生まれて初めて感じたものだ。この感覚は父の部屋では感じられなかった感覚だ。

お母さんには、もしかしてなにか特別な力があると思っていたけど今それが確信に変わった。

やはりここには何かがある、そう確信した瞬間でもあった。


特に父の部屋と装飾はそう変わらないのに体に伝わってくるこの不思議な感覚。

私はまるで何かに導かれるように、近くにある棚に近づき引き出しを開けた。


そこには、一つの本あり表紙には

『魔法理論学』と書かれたものがあった。

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