転生

ほとんど人間は、生まれたときの自分の記憶はないことだろう。もちろん、それは私も同じだ。生まれてまもない頃、どこへ行って、何を見て、何を聞いたか、なんて全く覚えていない。それはまだ、子供の頃は完全に脳が発達していなくてぼんやりとしているからではないだろうか。聞いた話だけど、赤ちゃんが泣くのは親が自分を見捨てないよう本能的なものが働いている、耳にしたことがある。

 

 これは私が、前世で一度考えたことがあることなのだが、まだ完全に脳が発達していなく意識もそれほど覚醒していない身体に成長した魂が入るとどうなるのか。魂の負荷に耐えられず、赤ちゃんは死んでしまうのだろうか。


   これが私が転生したときに最初に思い浮かんだ疑問だった。


〜3年後〜

どうやら私の意識がぼんやりしていたらしく目覚め始めたのは私がこの体に転生してして約3年後のようだ。3年と聞くと長く感じるかもしれないけれどずっとぼんやりしていたので意外と短く感じた。

この3年間で色々わかった事がある。それはあのイケメンな男と美人なお姉さんはどうやら夫婦のようだ。つまり私がこの二人の娘ということになる。私を生んでもらって失礼承知の上で言うけど、まだ二人のことを完全に親とはまだ思えない。過去のこととはいえ、前世に家族という大切なものを置き去りにしてしまったのだから、簡単にこの状況を受け入れることはまだ難しいみたいだ。


父親の名前はノア

母親の名前をルナというようだ。そして私にはシャーロットとつけてくれた。両親たちは私を愛称のロッテとよんでいる。後にわかったことだけどこの名前には自由という意味があるとかないとか。その名前が私にはふさわしいとは思わなかったけど、せっかく名前をつけてくれたんだからこの名にふさわしいくならないと。


そういえばこの家には電球がまだ存在していない。明かりはすべてロウソクだ。どれだけ世紀末なんだよ、と思わずツッコミをしてしまった。ここはヨーロッパ圏のような雰囲気がしているし電球がないということはないとおもんだけど。

(もしかしたら、案外そんなことないのかな?)


そして、これについてはつい最近知ったことなのだが私がこのむらで発見した世界地図と前世で見た世界地図は全く違うようだ。多少の違いとかではなく大陸の数から違うのだ。前世ではユーラシア大陸、アフリカ大陸、オーストラリア大陸、南アメリカ大陸、北アメリカ大陸、そして南極大陸の計6大陸存在していたけれど、ここでは7つ大陸がある。そして各大陸の名前も前世のときと全く違っている。これは一体、どういうことなんだ。地図がかけるということはこの世界の文明はまあまあ進んでいることになる。世界地図を完成させるには航海は必須だ。それに羅針盤や紙、船を作る技術、これ以外にももっと必要なものはたくさんあるだろう。つまり、この地図が完全に間違っていることはほぼないだろう。


つまりここは、異世界ということになる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る