【月城ナノ嬢企画】音楽を小説にしよう!

たんぜべ なた。

宇宙遊泳 月の光(ドビュッシー作曲 / 冨田 勲演奏)

 放課後、掃除の終了を知らせるチャイムのようにポロポロとした音が聞こえ始める。

 黄昏時のオレンジ色が教室を満たし始める、あの独特の雰囲気が広がる。


 眩しい夕陽が目に入ったようなキラキラとした…そう、あたかも宇宙そらいざなわれるようなキラキラとした音が聞こえてくる。


 あまりの光の眩しさに、僕は瞳を閉じる。


 バイオリンの多重層が、僕を宇宙そらいざなっていく。


 重力から開放された独特の浮遊感。


 満天に広がる星々の海原。


 見渡すほどに、世界は広がり続け、星々は果てしなく輝き続ける。


 星が、星団が、星雲が…またたいている。


 音楽は打ち寄せる波のように僕の心に迫ってくる。


 それは、この星々の鼓動なのかもしれない。


 星が生まれ、星が死ぬ


 刹那の輝きに心を奪われる。


 いつしか、星の海を渡り歩いている僕。


 果てしない星々の海を、浮遊するように歩いている。


 あの星団も輝き、この星雲も瞬いている。


 振り返ると、地球が佇んでいる。


 僕は立ち止まり、地球を眺めている。


 地球から一直線に伸びる光が僕を刺し貫いていく。


 何処までも続く一本の光り輝く道。


 星々の鼓動が聞こえてくる。


 やがて、僕も光となって、遥か遠い世界に旅立っていく!

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