【短編】安らかな眠りを
浅野彼方
第1話 使用人
「主様。朝食の時間ですよ」
開いた扉から外気と部屋の温度が交わり室温が少し上がった。
主と呼ばれた人はなんの返答もせずただ眠っている。
一見、眠っているように見えるが実際は――
「……本当にお寝坊さんですね」
使用人は少し呆れながら、眠っている主に近づくと憂いを帯びた表情を浮かべている。主に触れた指先はとても冷たく、触られたことに対する反応もない。
「次に来るときは、ちゃんと起きてくださいね?」
寝具の側から離れ、おやすみなさいと声をかけるとその部屋を後にした。部屋には再び冷気が充満し始める。
そう。これが彼女の日常であり、彼女が望んだ日常でもある。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます