第58話 乾杯のあとで

王太子がグラスを掲げて


「ご令嬢の皆様、グラスは渡りましたか。それでは・・・・乾杯!」


「乾杯!!」とグラスをあげた令嬢たちはグラスをあけた。


「美味しいですわ」「美味しい」



令嬢たちは、まばたきをしなくなり見開いた目で微笑まれたハリーは有名になった冷静さをなくし、助けを求めてあたりを見ていたとき、自分を見ていた王太子と目が合った。


王太子は勇気付けるようにっこりと笑うと、ハリーに近寄って来た。


「ハリー、ここにいたのか。近頃あまり話せなくて気になっていたこちらへ」と連れて行こうとしたところに


「あら、王太子殿下、ハリー様はわたくしとお話してますわ。・・・・・おまえ邪魔」


「そうよ、ハリー様はわたしと話したいの!」


「王太子殿下、わたくしとお話して下さいませんか?・・・・そのにやけ面、貸しな」


「あなたがた、それはあまりに無作法ですわ・・・・・あんたら、あっち行きな」


いつのまにか、やって来た、ページとライト、薬師長とティーナはメモを取りながら令嬢を観察している。


なかには


「ルミナ。急にどうしたの?それに目が・・・・目が・・そのおかしくない?」


「パトラ。どこがおかしいだと・・・なにがおかしいってんだ。あのくそあまども、気に入らねぇ」と言うとルミナは、バビューンと飛び上がった。


十メートルほど飛び上がり、ドンと落ちてきた。


ルミナが落ちた場所のそばにいた令嬢は


「びっくりすんだろ。いきなり落ちるな。ずっと上がっとけ。こうするんだ」と飛び上がった。



やがて記録していたページとライトの合図で令嬢達にワイングラスが配られた。


だいたい、一杯目は普通に飲み、口数が少なくなり、まばたきをするようになった。


二杯飲むと倒れるように眠って行った。



半数ほどの令嬢はパトラのようになんの変化もなかった。


パトラは驚きと怯えで固まっていたハリーの手を引いて安全な場所に避難させた。


王太子とジルは薬師用のローブを給仕から受け取るとページとライトの一団に紛れた。



園遊会の出来事は暑さのせいとか、ドラゴンの呪いとか言われるようになった。



後に王室から出席した家すべてに美肌ポーションが箱で贈られた。



ちなみにパトラとハリーは後に結婚した。



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