第54話 報告書
火を吹く魔獣の討伐記録は王太子の元へ届いた。
討伐そのものは、騎士団がターゲットを取り、冒険者がやや安全圏から攻撃を続けると言う簡単なやり方しかできないと、犠牲者が多数でる前提で行われるはずだった。
だが、そこにジルが・・・いや、ジルはおまけだとヘンリーは思った。
今回もそこにティーナがいた。前回、死んだはずの人間をティーナが救った。今回もティーナが救った。
ページとライトを送り込んでいた自分も、大したやつだとヘンリーはちょっぴり自分を褒めた。
あのティーナが経理課で起こした愉快な騒動の元が、こんなに役立つとは、薬師長と話そうかな、会いに行くか、呼びつけるか。ヘンリーは少し迷ったが会いに行くことにした。
ティーナの帰りを待つ薬師長を慰めてやらねばなっとヘンリーは薬師長のもとへ先触れを出した。
「ティーナは向こうを出たんですよね・・・・もっといい馬を出して下さいーーーー」と薬師長が王太子に縋っている。
「あぁ、そうなんだが、向こうで強力な魔獣が出たようで、ジルを迎えに行った騎士団とギルドが協力して討伐したようだ。それでティーナも足止めを食ってな」
「魔獣の分際でティーナの邪魔をするとは・・・・」
「そうなんだ。魔獣対策を考えておる」
「圧力をかけて来る貴族はきちんと記録しておるな?」
「はい、王太子様・・・・薬師たちも長であるわたしに・・・・」
「大丈夫だ。栄えある王宮薬師。その長に対する無礼は必ず報いを受けさせる。もう少し辛抱してくれ」
そういうと、薬師全員に軽食を差し入れて、王太子は帰って行った。
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