第52話 火を吹く魔獣は人間の言葉がわかるのか?

街をでて一時間、


「計画を告げる。いや、複雑のことはやらない。二匹を引き離せなかった。二匹まとめて葬る。


それぞれこちらの列のものは大きい方の担当を、逆は小さい方を。もちろん、魔獣が移動するなど状況が変わればその限りでではない。


先ず、騎士団が攻撃をする。騎士団と魔獣が戦っているすきを狙って冒険者は魔獣を攻撃してくれ。


こちらの負傷者が出れば、自力で動けるものは速やかに後方に下がれ、動けない者は気づいた者が手助けしてやれ」



「御託はいいんだよ・・・さっさとおっぱじめようぜ」



「最初に怪我したいやつは、おっぱじめろ」


「その他の者、あいつが火を吹くのがわかったやつは大声で知らせろ。おまえおっぱじめろ」


「おっぱじめる前に渡した者を飲め・・・・乾杯!」



「騎士団、始めろ。ぶっぱなせ」ジルの合図で攻撃が始まった。


「俺も混ぜろ・・・・やっぱ喧嘩は正面からだ」と言いながら冒険者が騎士団に混ざり石を投げ出した。


石はボランティアを観察していたライトの進言で、用意したものだ。


町の住民が町の外にでて拾って来た。


魔獣の後ろから冒険者がそれぞれ攻撃しているが、尻尾に薙ぎ払われる。何人かが「やったれ草」効果で尻尾の上に立ち、剣で刺そうとするが振り払われる。


「てめぇが尻尾に立つなんざ、世の中終わりだおしめえだ


「この化け物が尻尾が自慢か?」


「そうだ、おっぽ振って喜ぶんじゃねぇ」


こう言いながら、冒険者は尻尾と格闘する。



「このドラゴンくずれ!!火でも矢でも吹いて見ろ」赤髪の冒険者が怒鳴った。


その時、魔獣が天を仰いで息を吸い込んだ。そして息を止めたまま赤髪を見ると、一気に火を吹いた。


逃げ遅れた、何人かが、火に飲まれた。


「うあーーー」「あちーーーーー」「だめだーーーー」「こんにゃろーー・・・・不発だぞ。間抜けやろう」


「間抜け野郎はてめらだ」「そうだ、とびあがりゃぁいいのに・・・・突っ込みやがって」


「うっさい・・・俺の勇気ってもんだ。はっはっは、そんなへなちょこドラゴンの火なんぞ熱くねえんだよ」


魔獣は尻尾を奮って冒険者をなぎ倒しながら、騒いでいる人間を見ていた。ふいに後ろ足で地面を蹴りくるりと回ると尻尾を振りながら、もう一匹の魔獣の隣に立った。尻尾がたがいに当たらぬように腹の中程に頭が来るように立った。


「ルラー」不意に一頭が鳴いた。


「ラ!」もう一頭が鳴き、二頭は天を仰いだ。


「おぉ来るぞ」「こんだぁ、おまえの火力を検査してやるぞ」「こっちだ。くずれ!」「来やがれってんだ」


二匹は火を吹いた。


「こあいーー」「キャッホーー」「武勇伝だーー」「こちとら、伝説だぜーーー」



怒り狂った魔獣はそれぞれ前にいる敵に向かって突き進んだ。


「今、火を浴びたやつらは、下がってネバールを飲め」とジルが命令した。笑いをこらえている声だった。


前に進んだ魔獣の尻尾がもう片方の顔に当たった。するとその魔獣は尻尾に噛み付いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る