第17話 ギルドマスターのお仕事 ギルドマスター目線

「ティーナ。なんでここで寝てるんだ?」と声をかけると目を覚まして、こちらを見た。


さぁここから、勝負だ。俺はやさしく頼りになるギルドマスターだ。


「亭主が探しに来たから、隠れてた」とティーナが答えた。


「そうか、そりゃ、難儀だな」と優しく笑いかける。


「うん、馬車が動き出すって聞いたからそれに乗って逃げる」


「それがいい、どこに行く?」行方の把握は大事だ。


「メガント・タウン」なるほどね。


「なら途中のギルドに寄ってポーション作ってやってくれ。連絡入れとくし。代金もはずむ」


「いいよ」と返事が返って来た。よかった。


「うちの代金も渡すから、部屋に来てくれ。メガント・タウンってことは」


「うん?」


「それなら、俺も途中まで行く用事があるから前倒しで行こう。一緒に行けば退屈しないだろう。もし亭主が来たら帰れって強く言ってやればいいな」と言うと安心したようにティーナはうなづいた。


こうして次のギルドまで送って行くことにした。



フードを深くかぶったティーナを乗せた馬車が動き出した時はほっとした。


途中休憩の為に止まった村で、ハーブや野菜を売ってるやつと話し込んでいる。しばらくすると売り場を離れて家までついて行ってる。俺はそっと後をつけた。

そこでなにやら、貰ったようだ。


買い物は草だが、これはなんかの実だった。なにやらノートに書き付けていたが、終わったようなので尋ねると、


なんでも髪の毛にいい実らしい。あの村のあたりではこの実を食べるらしい。それで実を少し貰ったとか・・・・



次の村はハーブではなく野菜を売ってたがそこでも熱心に話し込んでいた。そのまま別れるかと思ったが、売り子の息子と言うのが馬車まで走って来てなにやら種を渡して去って言った。


ティーナはすごく嬉しそうにまたノートになにやら書き込んでいた。




トライヤルタウンについてギルドにティーナを届けると、どっと疲れが出てきた。


「待ってる人たちがいるようなので、すぐにポーションを作りますね。ついでに個人のものを作っても良いってことだから、ちょっといろいろ」


そう言うとティーナは元気にギルドの奥に入っていった。



俺はそこのギルドマスターに細かく話をした。



それから、宿に行くと、ベッドに倒れ込んだ。とりあえず、俺の役目はここまでだ。


いつのまにか、あいつが強くなってたぜ・・・・ギルドの不覚だな・・・



ノックの音で目が覚めた。夕食が出来た知らせだった。途端に空腹を覚えた。



食堂に行くとティーナがこの町の副ギルドマスターと一緒に飯を食っていた。



俺を見て手を振るので同じテーブルに座った。副ギルドマスターは立ち上がろうとしたが、手で止め、互いに座ったままで挨拶を交わした。


「こちらのマスターさんも用事があるんですって、メガント・タウンまで一緒に行けるの」とティーナが言うと


「話し相手がいて、よかったです。一人だと退屈ですし」とやや棒読みの声が続けた。


「お二人揃ったからちょっと質問。ギルドには薬師はいないんですか?」


「あぁ、いるけど、腕があんまり・・・・うんと腕にばらつきが、あるから、王宮薬師の作るポーションを仕入れているんだ。ただ入荷が少ないからな・・・・・だからティーナが作ってくれるのは助かる」と答えると


「なるほどね。ちゃんと支払って貰えるし、協力しますよ。それに私個人で作りたいものも作っていいって事だから、嬉しい。あの実を使って作った薬も明日弱い魔物を取ってきてくれるって事だから試せるし・・・」


「どんなのなんだい?」と聞くと


「毛生え薬」とすまして答えがあった。


「毛?」「なに?」


「うん、前からやってるけど、なかなかね。薬草事典に載ってる材料だとうまく出来なくて・・・・でもあの実をみて・・・・これだって思ったけど・・・・・うまく行けばいいけど・・・・」とティーナは考えをまとめているのか、ゆっくり返事をした。


「もう、できてるんだね」と副ギルドマスターが確認すると


「うん。完成してる」とあっさりティーナは答えた。


「それから、これは疲れた時に飲めば楽になるから」とティーナはバッグから酒瓶を取り出した。


「わたしが作ったドリンク。ポーション瓶だと不便だと思って相談したらこれが出てきた。もっと早く気づけばよかった。これだと便利でしょ。カップに一杯飲めばいいから。それじゃ、部屋に戻るね。おやすみ」


俺に酒瓶を渡すとティーナは席を立った。


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