第13話 やけどでしょ ティーナ目線

馬車は同じような道を通り同じようなちいさな村に止まる。こういった村をみて驚いたのはハーブティが小袋になっていないことだ。


あのメバントタウンにティーバッグがあったのは運が良かったんだ。


でもこういう所はそこの家の人が栽培した香草を使って、薬草じゃなくて香草だ。どう区別しているのかわからないが、薬草事典に載っていない植物?香草の事を知ったのもお料理の本を読んだ事がきっかけだから・・・・香草が身体に良いと書いてあったで。体にいいなら薬になるよねって思っていたけど、王宮は材料使い放題だから、香草を使おうなんて思わなかったけど、あんの野郎に騙されて・・・・・まぁこの知識を使ってハーブティでポーションと言うかドリンクを作れたのは、ほんとに運が良かった。飢え死にしなくてすんだ・・・・



それでこんな小さな村で薬草というか香草の知識を得られるのは、あの野郎・・・・いんや・・・わたしの努力のお陰だ。


自家製のハーブティを少し買って話しているうちに出発の時間となった。おうちの人にさよならして乗り込んだ馬車はガタゴト走り出した。


今日はひさしぶりに大きな町。タツムラタウンで泊まれる。食料品屋で、ティーバッグのハーブティを買い込んだ。


これを見かけるとほっとする。ティバッグはわたしの命綱だった。




この町はとても賑やかな町で夜中も人の出入りで煩かった。


明け方、やっと、うとうとした頃、通りに人が出て来て大騒ぎをしている。


一体なんだとロビーに降りると、誰かが説明していた。


なんでも火を吐く魔物がでて、冒険者がそろって討伐に行ってなんとか仕留めたが、大やけどを負った人がどんどん運び込まれているというのだ。


火傷・・・・村で買ったハーブティに使われている草が効く。知らんふりは出来ない。


それでわたしはけが人がとこに運び込まれたか聞いていると、この宿にも五人ほど運び込まれた。


ざっとみると全体的に火傷をしているし、なんだか血まみれだ。煙を吸って喉も痛いようで、低く呻いている。


「わたしは薬師です。すぐに対処しますので、少し待っていて下さい」


そして宿の人に台所をかしてくれと言うと


「お嬢さん、台所で作った薬なんて・・」とか言っていると


「頼む、もうどこにも薬がないんだ・・・責めて痛み止めでも」と少し動ける冒険者たちがすがってきた。



「わかった、こちらへ」と案内されたわたしは鍋を用意してくれるよう頼むと自室に戻って買い溜めたハーブティを持って台所に言った。



火をつけて貰うと鍋に水を入れ、村で買った火傷に効く草が混ぜてあるハーブティ。痛み止めを混ぜてあるハーブティとあとはいつものティーバッグを入れると空いた鍋がなくなった。後でもう一度何種類か作ればいいかなと鍋を見守った。

初めて作るものは本当に丁寧に見守った。


できあがったので、出して貰ったカップに入れて運んで行った。


一番痛そうに見える人のそばに寄ってまだ熱いそれを喉に流し込んだ。


「まだ熱いんだろ」とそばに付き添っていた冒険者が言うから


「うん、熱いよ。出来立てだから」と答えた。


「だから熱いと火傷」と言っている間に焼けだだれた部分に新たに皮膚が出来ていく。


「熱くても治るでしょ。火傷の薬だから」と答えると



「そりゃ、そうだけど・・・・なんか・・・」とぶつぶつ言っている。


「完全にはまだ無理だから、もう一回飲んだほうがいいけど、明日になるかな。痛み止めも飲んでね」と言っておいた。


他の場所に運ばれた火傷の人の所へは、宿の人が鍋ごと持って行った。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る