渦中にいない人

辛い時、苦しい時に「あの時何が出来たのか」「どうすればこの状況から抜けられるのか」と葛藤するのは本人だけではなく、その周囲の人も同じ。
これからは主人公が彼女の分の業を背負って生きていかなければならない。「あのとき声をかけていたら、彼女は助かったかもしれない」という思いに永遠に苛まれてしまう。
彼のために彼女は思いとどまって欲しかった、というのはエゴであり彼女が踏みとどまらなかったのもエゴである。
終始無力である主人公の感情がせつなく描かれていて、処女作とは思えないちからづよさがあると感じました。