修学旅行⑪

俺はお母さんを取り巻く、黒装束のヤツらに向かって走り込んだ。


丸腰で、拳を突き出して。


だが、俺の拳はあいつらに届くことはなかった。


俺は黒装束の怪力の男に首を掴まれ、近くの木に打ち付けられた。


そこからの記憶はない。


俺は気絶していた。


気がつくと俺の視界には朝日が昇っていた。


朝日が顔に差し込み、我に返った俺は叫んだ。


「お母さん!

どこにいるの?!

いるなら返事してよ! 」


お母さんたちの姿はそこにはなかった。


恐らく、あいつらに連れ去られた後だろう。


「くそ!! 」


俺はお母さんを救えなかった悔しさでその場に倒れ込み、立ち上がることが出来なかった。


「俺は、弱い…

俺がもっと強かったら、お母さんを守れたんだ… 」


その時、俺は決心した。



あいつらの組織に入って、幹部になり、お母さんを探す。


それが俺の'生きる道'だ。


もう振り返らない。


俺は森を後にした。




それからの日々は体を鍛え、たくさん勉強をした。


全てはあの組織に復讐をするため。


俺が14歳の時のある日の事だ。


学校帰り、買い出しを済ませ帰宅していると、通りかかった人物の服装を見て、身が震えた。


そいつは、あの時お母さんをさらって行った奴らと同じ黒装束を纏っていた。


「やっと見つけた 」


俺は気づけばそいつに向かって走っていた。


そいつの背後に立って、耳元で囁く。


「お前の所属している組織のことを教えろ 」


その時、俺はそいつの首筋にナイフを突きつけた。


「わ、分かったよ

なんでも答える 」


その男はか細い声で答えた。


そして俺がナイフを握る手を緩めた瞬間、その男は振り向き俺に向かって拳を振りかざした。


「なんてな〜

ガキはここでくたばれよ! 」


その男は俺を完全に下に見ている。


俺が毎日どれだけハードなトレーニングメニューをこなしていると思っているんだ。


俺はお母さんを救うために、あの時から1度もトレーニングを欠かしたことはない。


(くたばってたまるかよ )


「!! 」


俺は男の拳を避けると、その手を掴んで背負い投げをした。


そして倒れ込んだ男の頬にナイフで傷をつけた。


「お前は俺に勝てない

大人しく情報を吐け 」


俺が男の頭を地面に踏みつけながら言うと、男は恐怖で反抗してこなくなった。



人気のない裏路地にその男を連れ込むと、早速男は話し始めた。


「俺はこの国全土に勢力を広げている、'ナルノス神教'の教徒だ

まだ俺は下っ端だけど、功績を上げれば'鬼の子'ってやつになれて、自分の隊を持つことができるんだ 」


そいつは思っていたよりもすんなり話してくれた。


その後、拠点の場所も高圧的に聞き出し、男には口外できないようにたくさん脅しを用意しておいた。


家族に~~~みたいなことを言っておけば大抵大丈夫だ。




お母さん、待っててね。


俺は男の言っていた、ナルノス神教の拠点の前に来た。

~~~~~~~~~~~~~~~

続く

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