修学旅行⑨

俺たちの上を飛んでいる人物、恐らくあいつが俺らに攻撃してきている。


黒装束をまとっていることからチルハの仲間に違いないだろう。


俺には危険察知の異能力がある。


注意しておけば直撃は避けられるはずだ。


ジンクルたちは既に敵のの存在に気付いている。


「ジンクル!上の敵に気をつけて射線を切れ! 」


なんだか、前世でやっていたテレビゲームを思い出す。


だが今はそんなこと言ってる場合じゃない。


俺はチルハを見て言った。


「チルハ、ずいぶんとふざけたことしてくれるな 」


「君にはこれで十分だからね」

「所詮は危険察知、攻撃できる能力でないなら警戒するまでもない 」



ずいぶんと舐められたものだ。


「そういう君の能力も攻撃向きではないじゃないか 」


俺はチルハの能力の矛先がジンクルたちに向かないよう、できるだけチルハを煽った。


周りにはどんどんチルハの仲間が集まってきている。


早く決着をつけなければ。


俺は最後にチルハに尋ねた。


「もう俺らの仲間に戻る気はないのか? 」


「仲間?元々そんなのじゃないよ、俺は'鬼の子'第7席として主に忠誠を誓っている 」


チルハは鼻で笑うようにして、俺の言葉を弾いた。


もう、ダメみたいだな。


「チルハ、お前とは一緒に天の子を目指せると思ってたよ 」

「なんで、そっち側に着いたんだ、俺は同じ転生者として信頼してた 」

「だけどお前は頭がよく回る、だからここで 」


……殺す……


俺は強く念じた。


ジンクルやマリン、ノエルたちを失う訳には行かない。


「チルハァーー!」


俺はチルハの懐に向かってナイフを突き刺した。


その時、鈍い音がナイフ越しに伝わった。


~~~~~~

「どこだここ? 」


俺はメルトと話していたはずだ。


確かナイフで刺されて……


「チルハ〜ご飯できたわよ〜」


「え?どういうことだ? 」


周りを見渡すと、そこは俺が幼少期に住んでいた家だった。


「お母さん?? 」


一体どういうことなんだ?

~~~~~~~~~~~~~~

続く

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