修学旅行③
チルハがいなくなったことをジンクルたちに伝えた。
「おいジンクル!
チルハがいなくなった!
探しに行かないと! 」
俺は暗くて危険な鍾乳洞の中での出来事だったので、危機感を持っていた。
「先生、チルハくんとはぐれてしまって探しに行ってきます 」
「ちょっと待ちなs……. 」
先生が後ろで何か言っていたが、無理やり4人で走り出した。
「チルハくんいつまで一緒だったの? 」
マリンが走りながら聞いてきた。
「ほんのちょっと前までは一緒に居たんだ。
多分まだ近くにいる 」
そう話しがら鍾乳洞に設置されている桟橋を走っていた。
その時俺たちは桟橋の下にある人影に気付かなかった。
もう15分ほどたっただろうか、チルハが見つかる気配がない。
(そもそもチルハはなんでいなくなったんだ? )
俺はチルハがいなくなった意味が分からなかった。
一体何を考えているんだ。
もうずっと走り回っているので、俺を含めた4人は疲れ果てていた。
そして、力を振り絞りチルハの名前を呼んだ。
「チルハー!
いるなら返事してくれよ! 」
「ここにいるよ 」
俺は脳天付近がピリピリするのと同時に、耳元から囁くように声が聞こえたので振り返るとチルハが立っていた。
だがチルハは大きめの石を持ち上げ俺の頭に勢い良く振り下ろした。
その瞬間、俺は気を失った。
気絶の原因は痛みでか、脳震盪でか、それもとチルハに殴られたというショックでか。
俺は気がつくと見覚えのない鍾乳洞の空間に居た。
俺らが修学旅行で訪れるところでは無い。
つまりここはまだ発見されていない、新たな洞窟だ。
俺は今目が慣れているからある程度視認できるが、ここは光源がないので真っ暗だ。
俺が周りを観察していると、後ろから声が聞こえた。
「やっと目を覚ましたかい、メルトくん 」
そこに立っていたのはチルハとその部下であろう4人の黒装束の男達だった。
「チルハ、これはどういうことなの? 」
俺が頭がクラクラしながら聞くと、チルハの部下が答えた。
「私たちは'ナルノス神教第7隊'、そしてこの方こそがこの部隊の部隊の隊長であり、'鬼の子'の1人であるチルハ様だ 」
(?? )
俺はこいつらが何を言っているのか全く分からなかった。
「チルハ、どういうことなんだ?
お前の口から教えてくれよ 」
「…… 」
俺が聞いてもチルハは沈黙を続けた。
「チルハ!! 」
俺が大きく叫ぶとチルハは被せるように答えた。
「メルト、君の口から天の子になりたいって聞いた時から、俺は苦しかった。
俺はこいつらの言う通り'鬼の子'の第7席だ 」
「なんだよ鬼の子って!! 」
俺が少し口調を荒らげて言うと、チルハは落ち着いて答えた。
「それはね、天の子を暗殺するための精鋭10人に与えられる称号だよ 」
俺はその言葉を聞いた瞬間、頭が真っ白になった。
そのまま気を失い、気がつくと牢屋の中だった。
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続く
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