青年の正体

後ろから声をかけられた俺は、ゆっくりと振り向いた。


そこに居たのは水色の髪でセンターパートの青年だった。


その青年は背が高いので、椅子に座っていた俺は見上げるのが辛かった。


「どなたですか 」


俺が尋ねるとその青年は顔に笑みを浮かべて答えた。


「強いて言うなら、'君と同じ存在'かな 」


俺はどういう意味か分からなかった。


しかし次の瞬間その意味を完全に理解した。


その青年は俺の机の上の答案用紙をみて言った。


「物理のこの問題、なんでこんな公式使ってるの?

こんな公式'この世界の'学校では習わないよね? 」


「!! 」


この青年の話し方的に恐らくこいつは俺と同じ'転生者'だ。


(俺以外にも転生者がいたなんて全く考えてなかった。)


俺はもう言い訳をすることも出来ず、ジンクルたちに言ったように正直に答えた。


俺が話終わると青年は心を開いたらしく、名乗ってくれた。


「俺の名前はチルハ、もうわかってると思うけど俺も転生者だ。

お前の名前はなんて言うんだ? 」


とても話しやすい性格をしていて俺も安心した。


「俺はメルト、前世でも同じ高二だった。

チルハはなんで前世で死んだんだ? 」


(少しデリカシーのないこと聞いちゃったかな)


俺は聞いたあとで少し申し訳なくなった。


だがチルハは俺の質問に答えてくれた。


「俺は、殺されたんだよ 」


少し空気が固まったのが分かった。


てっきり俺にも聞き返してくるかと思ったが、やはりあまり好きな話題ではないらしく、チルハが俺の死因を聞くことは無かった。


「なんかごめんな 」


俺がそっと謝った。


「全然気にしないでいいよ 」


チルハは優しく答えた。



俺はあまりに突然の転生者の出現にとても驚いていた。


「チルハは俺になんの用なの?? 」


俺は純粋な疑問を投げかけた。


するとチルハは答えた。


「俺とメルト、少なくとも2人はこの世界に転生してきた人がいる。

つまり周りにも転生してきたやつがいるかもしれない。」


「そいつが良い奴なら何も問題は無いが、前世の記憶を使って悪巧みする奴がいつ現れてもおかしくない。」


「だからメルト、俺たち一緒に協力しないか? 」


俺はチルハの言っていることを理解した。


(チルハは話を聞いてるだけで分かるほど頭が良く回るヤツだ。 )


(これは仲間にすると心強い。)


俺はチルハの提案を呑むことにした。


「いいよチルハ、これからよろしくな! 」


チルハも加われば、俺の目標である'天の子'になることにも1歩近ずく。


俺はチルハに、ジンクルとノエル、マリンのことを紹介した。


そして肝心の目標である、'天の子'になるということもチルハに伝えた。


それから毎日チルハも一緒に学校で過ごすようになった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

続く

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る