第10話 酒場の決闘
魔王軍の進軍を見た雨頭は落ち着こうとする。酒場の前の路地に降り立つとナイフで左手の小指を切った。小指からカエルモンスターの独特の体液。ジェルが漏れる。
冬夜は魔法ブラッディドールを唱える。小指から放たれた体液がすくすくとカエルモンスターの分身になっていく。冬夜は出来るだけ分身を作ろうとした。今、雨頭冬夜はこの場を離れられない。
雨頭冬夜の分身の一体が酒場に飛び込む。かなり焦った様子で叫ぶ。
「魔王軍が攻めてくるぞ!!」
酒場の皆、冒険者達は師匠を見る。冒険者達は魔王軍ゴーレム山田とサキュバス・テトジャスティーを囲んでいた。そして私ミリアは山田と殴り合いをしていた。
「大変だ!! 皆!! はじまりの町が魔王軍に攻められるぞ!!」
師匠は今までに無い狼狽ぶりだった。私はゴーレム山田を殴る。ゴーレム山田は金属のようで効かない。ゴーレム山田は不敵の笑みを浮かべる。私は後ろでで合図する。私の後ろから飛び上がったキティがゴーレム山田に斬り込む。
キーーーーーン!!!!!!
甲高い音がしてキティの剣が止まる。ゴーレム山田の腕がキティの剣戟を防いだ。ゴーレム山田はにやけ顔。そのままキティを振り下ろし殴ろうとしたとこを師匠冬夜がキティの首裏を掴んで逃げる。師匠、女子なんだから、もっと丁寧に。
冬夜は叫ぶ。
「キティ! ティーナは俺が連れてく!皆!! 外に出ろ!! 戦争だぞ!! 武器を取れ!!」
カエルモンスターに言われるがまま、冒険者の荒くれ達が騒ぎながら外に出る。師匠に首根っこ掴まれたままのキティは声を震わせながら糾弾する。
「お、お姉様を一人戦わせるわけには!!」
キティは私を見ながら躊躇してくれてるようだ。さすが妹。キティ。わたし、頑張る!!
それをうちの師匠は。
「ミリアをみくびるなよ!! 一人で魔王二人も倒した女だぞ!! 俺が見とくからお前は先に町の外に向かえ!!」
師匠!! 覚えときなさいよ!! なんとしてもこれが終わったら殴ったる。
私はゴーレム山田の右ストレートパンチを左掌で受けて手を強く握った。80センチ程の拳に圧がかかる。ゴーレム山田は拳を引っ込められない。
それをみて安心したのか。キティは行ってしまう。
「お姉様。行ってきます。ご無事で。」
キティまたね。
「ミリアちゃん。頑張ってね。」
ゴスロリ魔女ティーナさんも行ってしまう。アレ? ティーナ姉さん。ちょっと思い詰めた顔してる。大丈夫かな。
私はゴーレム山田の右手を離す。ゴーレム山田はちょっと焦っていたようだ。右手が解放されて強気になる。ゴーレム山田は叫んだ。
「ガーーハハハハハッ!!!! 人類最強の娘、ミリアとてオデの体!! アダマンタイトの硬さには敵わない!! 傷一つもつけられないのだ!! ダーーハハハハッ!!!!」
意味のない自信。それにサキュバス・テトジャスティーも乗っかる。
「キャーハハハ!! ミリアって言ったっけ!! タダの弱っちぃ田舎娘じゃない!! 私の出る幕ナーシ!」
このサキュバスも困ったギャルだわ。私の怒りは一段階上がった。
そこに二体目の師匠が入ってくる。師匠ブラッディドールね。何やってんだか。私は呼吸を整える。そして自問する。私は、誰?
私は炎の魔法使い。
「じゃ、これならどう??」
私は右手の拳に魔法を載っけた。右手の拳に炎系最強魔法、エクスプロードンを載せる。右手の拳が赤くなり赤い炎を纏った魔法拳の出来上がり。酒場の民衆から歓声が聞こえる!!
「アレが!!」
「エクスプロードンパンチ!!」
「あの魔王二人を倒した!!」
「世界最強の拳!!」
もう!! 私は顔が赤くなる。17歳なんだから最強とか言わないで!! 恥ずかしい!!
ゴーレム山田達は一瞬たじろいだが。私が恥ずかしがってるのをみてバカにして構えてくる。挑発して来た。
ふんだ! やったろうじゃない!! 全面戦争よ!!
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます