第8話 勇者ファスターの悩み
勇者ファスターは一人物思いにふけっていた。勇者を始めて三年、色々あった。初めはテンション高めにアゲアゲで冒険していたものの、すぐにどん詰まりになり、仲間を変えたり追放したりしながらどうにか模索しながらの成果上げてやっていけてた。それをあの女魔法使いとカエルモンスターのせいでファスター達の人気は地に落ちた。
このままファスターはクズ勇者としてはじまりの町を追い出されると思ったが何故か酒場で酔っていたカエルモンスターと意気投合、カエルモンスターに修行をしてもらえる事に。ファスターのプライドは一度折れたが今はこの町と皆がいてくれる事に感謝しているファスターだった。
「ゼッテェ、魔王を倒してやる。俺もいつか。」
ファスターの夢。あの女魔法使いに出来て俺達に出来ない訳がない。いつかこのパーティで魔王城に行き、圧倒的な実力差で勝ってやる。
ファスターの夢は尽きない。カエルモンスターの修行は役には立っているがいつかあのカエルモンスターも倒してやりたいと思っている。
そんな夢物語にファスターはふけり隣でゴーレム山田とサキュバスが密会している中。
ちょっと離れた所に黒いフードの人物がいた。ファスターは何かを感じ取った。何か怪しい。胸があるので女性らしいが何故か頭部がイメージとして思い浮かばない。フードを被っているので分からないのは当たり前だが、なんかぎこちない。言うなればマネキンが動いてるよう。
勇者ファスターは直感した。何かあると。
そのフードローブの女性はこちらに気づいたのか。そそくさと酒場を出る。ファスターは追いかける事にした。
月夜の綺麗な事。はじまりの町路地裏女性はそこに立っていた。勇者ファスターは誘い込まれた事に気づいた。
黒いローブの女性はナイフを手にファスターを襲ってきた。ファスターはロングソードを取り女性の手を払って首にソードを突きつける。相手の背後に勇者は入りローブを剥ぐ。
勇者ファスターは驚く。
「な、なんだッ?! これはッ?!」
黒いローブを剥ぐと女性は全裸だった。ただ驚くのはそこではない。女性の首が無かったのだ。
「アンデッド?? いやデュラハンッ?! しかも女性体のッ?!」
勇者の鑑定スキルは高位アンデッドのデュラハンと伝える。この町に高位アンデッドがいる!! 勇者は混乱した。
その女性デュラハンは勇者のスキを突いて逃げ出した。高位モンスターだけあって壁や荷物の上を三段跳びして建物の屋根に上がって走って逃げていく。勇者ファスターは追いかけきれず追いかけるのを諦めた。
近いうちに何かが起きる。勇者ファスターはそう思い、奥歯を噛んだ。
つづく
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