異世界勇者候補、現代で魔王になる
もぴー
第1話 異世界からの帰還
異世界に勇者候補として召喚され、魔王討伐隊の一員として世界の平和に貢献し、10年もの歳月を捧げたのに、どういうわけか地球に戻されてしまった。
しかも、地球に戻って来てすぐに神様にこう言われたんだ。
「異世界からの帰還人よ、地球で受け入れてやる条件として、決して自らの欲望のまま行動するな。」
なんだそりゃ。
16歳から25歳までの俺の10年間の青春を返してくれよ。
異世界から実家の自分の部屋に転移で戻された俺は、10年間部屋から1歩も外に出なかったニートの設定になっていたようで、両親や妹は俺が突然部屋から出てきたことで、ものすごく驚いていた。
「一輝。」
「お兄ちゃん。」
目に涙を溜めてこちらを見てくる家族のことは適当にあしらい、食パンでも焼いて食べようとキッチンに向かって歩いていくと、金縛りにあったように体が動かせなくなってしまった。
もしかして、神様の言っていた、決して自らの欲望のまま行動するな、は、自ら食の準備をすることも許されないのか。
とりあえず腹が減ったので、欲を捨て、家族にお願いすることにしよう。
「ちょっとお腹が空いたので、朝食を用意してもらえると助かるのですが。」
僕が10年ぶりに部屋から出てきたことで、母親と妹が喜んで朝食の準備をしてくれた。
トーストに目玉焼きにコーヒーまでつけてくれて、思わずありがとうとお礼を言ってしまったら、またもや驚かれてしまった。
まあ、いいや。今まで迷惑をかけた分?親孝行しようと思い、アルバイトを探しに外に出ることにした。
駅前にはいろいろな商業施設が建っているから、多くの店でアルバイトの募集をしていた。
どの店にしようかなどという自らの欲望を打ち消し、一番近くにある店に入り、面接を受けることにした。
そう思って辺りを見回すと、一番手前にあるのがとんかつ屋だった。
まあ、職種は何でも良かったのだが、もしかして賄いが食べられるのかと面接で聞くと、1日6時間以上の勤務でとんかつが食べられると聞いて少し喜んだ。
明日から10時ー17時で、週4回働くことになった。
家に帰り、家族にそのことを伝えると、自分のことのように喜んでくれた。
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