蒼碧のチューブ・トレイン

緋月慶也

チューブ・トレイン

気が付けば不思議な電車の中に居た。


二両編成の内、僕は二両目の車両に乗っていたと思う。


座席は前を向いているものや、車両の壁に接しているものまであった。


バスの車内を思い浮かべてくれたらいいと思う。


電車の中には少数ながら何人かの乗客もいた。


僕は前向きの座席に座っていた。


電車は円筒状で窓は多く、1枚1枚の大きさも大きかったため、見通しは良好だった。


電車はまるでジェットコースターのようなレールの上を高速で駆け抜けていった。


それに対し、車内は細かな揺れこそあっても、大きく揺れることは無く、安定していた。


しばらく、電車に揺られていると駅らしき場所についた。


ホームドアが開き、続いて電車のドアも開いた。


すると、男が電車に乗り込もうとしてきた。


だが、男はそのまま乗り込むことは無く、ドアのレールの上で立ち止まった。


そのままドアが閉じると男はドアに挟まれ、電車は、大して興味がないように動き出してしまった。


電車はさっきと同じようにレールの上を滑るように走る。


ふと、ドアの方を見ると男がいなくなっていた。


男はどこへ行ってしまったのか、僕には分からない。

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蒼碧のチューブ・トレイン 緋月慶也 @hizukikeiya

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