第18話
「ではこれ以上なにもなければ会議は終「ちょっと待って。」どうしたのかな涼太くん?」
涼太は長くなる可能性もあるからこのことに関しては最後に抗議をしようと思っていた。
「一つ言いたいことがある。………迷宮暴発とか救援要請があった時に大量に俺に振るのやめてくんない?」
涼太の抗議に全員が目を逸らす。誰一人として涼太の抗議に意見を言うでもなくただ目を逸らす。
「………やっぱりか…。おかしいと思ってたんだよ。なんか公開されている迷宮暴発の内容や救援された人とかほとんど俺が担当したものばっかだったもん。」
涼太はメディアなどで関東あたりで迷宮暴発が起きた際、結構な頻度で出動していた。
このことに気づいたのは今から2ヶ月前で、あまりの忙しさに学校を休むことが多くてたまたま高校の授業の一部で最近の迷宮暴発や救助された人について内容を詳しく調べて発表するというものがあった。
そしてなんとクラスメイトの6割の迷宮暴発や救援された人の内容が涼太が出動した事件であった。
そのことを知った涼太はインターネット上に掲載されている迷宮暴発や救助要請などの情報を漁りまくる。その結果掲載されている関東での迷宮暴発の事件の内容の内、約4割~5割が涼太が出動した事件だということが判明した。
しかし、公開されていない情報がある可能性も考慮し、カマをかけたのである。
「………待ってくれ。これにはわけがあるんだ。」
「言ってみろよ。言っておくけど波川さん。しょうもない理由だったらぶっ飛ばすからね。」
最高の笑顔でそう言う涼太とは対照的にむちゃくちゃひきつった顔をした幸之助は語りだす。
「…………いくつか理由があるが………これは結構真面目な話になる。」
これマジだな。聞かない方がいいか? いやでもこの人なら下手なことは言わないか。
「別に大丈夫ですよ。この感じだと横山さん以外は知ってますよね。大体アラサーに片足突っ込んでるんですし。」
今まで隠していた仕返しも込めて少し煽る口調で言ってやった。いらっとしているひとはいるけどなにも言ってこないのでたぶん許されたのだろう。
「……私が話をためらう理由は、君のお父さんが大きく関連しているからだ。」
「!!……あのダンジョンバカがなにか言ってたんですね……」
いまので全部察したわ。
「で、あのバカは一体何を言っていたんですか?」
「…それはね……
あの会議から2ヶ月近くが経った。今になってもあの話を思い出すのはそれだけ印象に残っていたことだからなのだろう。この一ヶ月で3人はめざましい成長を遂げており全員がA級探索者へと昇格していた。
「涼太くん、最近どうしたの?なんだか上の空になることが増えてない?」
「ん?大丈夫だよ。なにも心配することはない。」
最近は上の空になることが増えているようだ。心配をかけさせてしまったな。
あの配信から仲を深めた俺達4人は一緒に登校するようになっていた。流陣や愛以外はそこそこの関係で終わらそうと思っていた俺がここまで仲が深まるとは一切思っていなかったので自分でもとても驚いている。
それに何だか由奈の視線の質が段々と変わっていっているような気がする。悪く思われようとしているわけではないが、なんだかむずむずとする視線であまり落ち着かない。
その話は置いておくとしても今は夏休みのためダンジョンで攻略しまくっているのだ。
「まぁいいけど。一応ここは上級ダンジョンの深層なんだからね。油断はしないでね。」
「俺が一番わかってるよ。」
「そうだよね!それでさぁ、あの事考えてくれた?」
「配信を一緒にしないかって話だな。一応やってみてもいいかなと思ってる。」
実は数週間前に由奈、瑠色、流陣、俺の4人で配信をしないかと誘われていた。俺自身も面白そうだしやってみてもいいかなと思っていたのでとりあえずキープにさせてもらっていたのだ。
「やった~!流陣くん!瑠色!涼太くんやってみたいって!聞いてた!?」
「しっかりと聞こえてるわ。」
「同じく。全員A級探索者の配信者、確実に儲かる。」
金にがめつい奴が混ざってんな。
でも本当にこいつら強くなったよな。魔力技術を習得してから爆発的に実力がのびるのは横山さんも体験していたらしいがそれでもこいつら3人全員がここまで成長するのは、はっきりいって怪物だ。
「でも配信をするならハングリーには秘密を暴露してほしい。」
「秘密?」
「そう秘密。君、明らかにおかしいんだよ。ここ2ヶ月ずっと修行に付き合ってもらって確信できた。君S級探索者でしょ。」
……………唐突だな。
いやまぁなんとなく気づかれてるかもとは思っていたがいくらなんでも唐突だろう。
「驚いている様子が他の2人に見られないってことは話し合ってたな。」
「そうだよ。涼太くんが配信を一緒にやってくれるって言ってくれたら聞き出そうって話してたんだ。」
一応ダンジョンのなかだぞ。こんな話して大丈夫なのか?
「2人に付け足すが、明らかにお前は強すぎる。俺に関しては既にA級の最上位に近いって言ってくれてたよな。だけどお前と一回模擬戦やってみたら勝てる道が一つも思い浮かばない。それでA級のほうがおかしいって話だよ。」
「隠すのが面倒だった自覚はあるがそこまで簡単にわかるもんなんだな。いや……」
無意識の内にバレるように仕向けていたのかもな。
「?涼太くん?」
「!何でもない。それで、そこの瑠色が言い出したことは本当のことだよ。」
「やっぱりか……。でもハングリーってさ私たちにライセンス見せてくれたよね?それってどうなの?」
「S級探索者にはライセンス偽造の特権があるんだよ。」
「へ、へ~~。」
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