第9話
粛々と行われる葬儀は、何も面白くないコントのようだった。
灘の手は華奢なのに大きくて、指輪は春花の左手の中指に納まった。
灘の葬儀を終えてすぐ、能世と鞠在は離婚した。弓引鞠在は
灘の死は、伏せられた。
理由が分からなかった。なぜ。灘一喜は能世春木の相棒だったじゃないか。彼が
一度だけ、母親に疑問を投げかけたことがある。
不動繭理は大きく嘆息し、それから──
「あんた」
──軽蔑の眼差しで──
「どうして」
──石波小春を睨め付け──
「あんなことになったか、本当に分かってないの?」
──吐き捨てた。
愛してはいけなかったのか。
愛するために出会ったのだと、思っていたのに。
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