マスク・オア・フェイス~真夏の裏切り~
もみじ
第1話
本当に気づかなかった。知らなかった。もし、このままあいつの言うことに、あいつの言う「愛」というモノに従っていたら……そのままほったらかしにしていたら、どうなっていたのだろうかと……そして、今まで人前では、仮面をずっとかぶり続けていたことをね……
灼熱の昼を迎えようとした、アブラゼミが耳鳴りと勘違いするほどへとへとに参ってしまうこの夏。自分は涼しい塾のなかで夏期講習中。せめてこの夏で学力が伸びるように、とお父さんの勧めで入ることにした。でも、やけに聖書のことを交えたがる先生だらけだなと、ちょっと首をかしげたくなる。そんなにキリスト教に力入れてるのだろうか?
なんとかお昼になり夏期講習1日目の授業、オリエンテーションを終えた。でも家に帰ろうとしても、駅へ行こうとしても暑さで体が動けない。
「はぁ~、あついよ~誰、こんなに温暖化を進めたの?」
こんな文句を垂れるほどこんなに暑いなら、急いで涼しい駅の中へと飛び込んでいたら良いのに、慣れてないから動くことさえ
「お、理子!やっほ~久しぶり~!元気してた~?」
そうやってちょっと遠くの駅前を見ると、幼馴染で近所の浩平の姿が見えた。
「あ、浩平!やっほ~今行くから待ってて!」
そして、浩平の元へランニングついでのように駆け寄った。
涼しい駅の中で、体が生き返るのを感じながら声をかけてみた。
「終業式から、十日ぶりってところだね~そういえば浩平、何しにここまで来たの?」
「まぁ、駅前で推しキャラのイベントがあってさ~」
浩平はクラスからとても人気者で、いわゆる『イケメンで1軍』であるのに、推し活の一面もまたそのギャップで人気である。そして私たちはあることをきっかけに初日から仲良くなった。まぁ、カップルとかチヤホヤ言ってる人もいるけど、告られたり告ったというのは両者認めていない。
「私は、ちょっと歩いたところにある塾で夏期講習を受けてるの。」
すると浩平が少し気にしているように、顔をしかめながら
「なぁ、もしかして、それって『四葉学院』のことか?」
「あ、うん。そうだよ。それがどうしたの?」
次はもっとしかめっ面で
「まさか、『四葉の会』と接触したんじゃないよな?!」
と脅すかのように言ってきた。その時、自分は少し気を失ったように倒れそうになった。
「お、おい!大丈夫か?!」
浩平に心配されたが立ち上がった。そして、うちは言った。
「うち、そんなのに覚えなんてねぇわ!何やねん、『四葉の会』って!」
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